心臓弁膜症とVHS

本日来院したのはクゥー子ちゃん。13歳のミックス犬です。

数年前から心臓の弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症=MR)を指摘されており、心不全の治療薬であるピモベンダンを飲んでいます。

経過が長かったこともあり、本日はレントゲンで心臓の状態を確認しました。その画像がこちらです。

レントゲンでの心臓の評価とVHS

心臓の評価は、レントゲン・超音波検査・心臓マーカー(血液検査)などさまざまな評価法によって行いますが、レントゲンでは心臓のサイズや形、肺や気管の状態など胸部全般の評価が可能になります。

レントゲン検査では、VHS(Vertebral Heart Size)という方法で心臓の状態を客観的に評価することができます。弁膜症により心臓がうまく働けなくなると、その機能を補おうと心臓自体が大きくなります。心拡大と呼ばれる状態です。犬の大きさや犬種によって心臓の大きさにはばらつきがあるため、どの犬種でも客観的に心臓の評価をしようというのがVHSです。

VHSでは心臓の長軸(心臓の最大径)+短軸(長軸に直角となる最大径)の長さが脊椎何個分あるかというのを調べる方法です。当院のレントゲン装置(DR)ではVHSの測定は容易に行うことができます。先程の画像を拡大してみましょう。

クゥー子ちゃんのVHSは11.2

犬 レントゲン 心臓 VHSオレンジの線が心臓の長軸の長さ、緑の線が心臓の短軸の長さを表しています。長軸の長さは第4胸椎から脊椎6.2個分、短軸の長さは脊椎5個分であり、VHSは11.2となります。一般的にVHSが10.5を超えると心拡大が疑われ、11.5を超えると重度の心拡大だという評価を行います。つまり、VHS11.2のクゥー子ちゃんの心臓は軽度の拡大をしているということになります。

ただし、肺や気管の異常は認められず、現時点で症状が比較的落ち着いているため、これ以上の検査はせず継続治療で様子を見ることにしました。今後状態をしっかり見ていくのであれば超音波検査や血液検査(心臓マーカー)などをも行いたいですが、少し興奮しやすい子であるため、必要最小限の検査でストレスを少なく治療できるのが理想です。

レントゲンと超音波検査の違い

わんちゃんの心臓の検査ではレントゲン検査と超音波検査が一般的です。それぞれに強みが違いますので、ご紹介いたします。

心臓のレントゲン検査のメリット

● 短時間で行うことが可能

● 心臓のサイズの客観的な評価が可能

● 肺や気管など、心臓と密接な関係を持つ臓器の評価が可能

心臓の超音波検査(心エコー検査)のメリット

● 心臓の動きや血流の評価が可能(弁の動きや逆流の程度、血流のスピードなど)

● 心臓の内部構造の観察が可能(左心房のサイズや心臓の筋肉の厚さなど)

● 場合によっては負担のかからない体勢での検査が可能

心不全(心臓弁膜症など)は状態によって必要な薬が変わる

心不全(心臓弁膜症など)の場合は、病気の種類や重症度によって必要な治療が異なります。それをしっかり把握するためには、レントゲン、超音波、血液検査などが必要となります。もちろんわんちゃんの性格なども考えつつ、必要な検査と負担を天秤にかけて検査や治療のご相談をさせていただいております。

わんちゃんの寿命が長くなるとともに増えて来る心疾患。特に小型犬では非常に多く注意が必要です。最近では心臓の病気が見つかってから3年以上元気に付き合っていける子も増えてきています。高齢になったら1年に1~2回は健診を行い、心臓だけでなく他の異常も早期発見早期治療ができるようにしておきましょう。心不全の症状に関してはこちらの記事がわかりやすいので参考にしてみてくださいね。

心臓弁膜症とVHS” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です