狂犬病予防注射はなぜ必要?

そろそろ平成30年度分の狂犬病予防接種の通知が皆さんの手元に届き始めているようです。「日本にない病気なのに狂犬病予防接種って本当に必要なの?」と思われている飼い主様も多いと思います。そこで今回は、狂犬病予防接種について簡単にお話しさせていただきます。

狂犬病とは

狂犬病とは、狂犬病ウイルス(Rabies virus)が感染することによる伝染病です。

ほとんどの哺乳類が感染する

狂犬病ウイルスはかなり幅広い哺乳類(すべての哺乳類とも言われています)に感染するウイルスで、狂犬病という名前が付いているものの、猫や牛、コウモリ、キツネ、アライグマなどで問題になることも少なくありません。

ウイルス自体の生命力はそれほど強くないため、通常の環境下ではインフルエンザのように空気感染(飛沫感染)することはないと考えられており、噛み傷などの創傷部位から感染します。

発症すると致死率100%という怖さ

狂犬病が恐れられているのはその致死率です。狂犬病は感染を予防したり、感染後にワクチンを打つことで発症を予防することは可能ですが、一度発症してしまうと致死率がほぼ100%という非常に怖い病気です。

狂犬病に感染し、発症した犬は「狂犬病」という名前の通り、ウイルスに脳がやられてしまうため、性格が豹変し他の動物に非常に攻撃的になります。狂犬病ウイルスのメインの伝搬経路は咬傷であるため、自分たちが生き残るために感染動物を噛むように操作するのです。

世界で猛威を振るう狂犬病

狂犬病というと昔の病気というイメージを持つ人も多いと思いますが、世界ではいまだに危険な感染症として存在し続けています。

狂犬病で毎年5万人以上が死亡

狂犬病の年間の死者数は5万5,000人と言われています。世界の1年間の死亡人数が6,000万人というデータがありますので、死因の0.1%が狂犬病ということになります。この数値は、日本人の死因のうち、インフルエンザが占める割合と同じです。

 

日本は現在、狂犬病清浄国

日本では、海外から帰国した人が発症した例を除くと、50年以上狂犬病の発症はなく、狂犬病ウイルスがない狂犬病清浄国となっております。これは世界で見ると非常に珍しいことで、日本の農林水産省が指定している狂犬病清浄国は現在6地域(アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム )のみとなっております。

狂犬病予防の必要性

では、今回の本題、狂犬病予防の必要性についてお話いたします。

日本に入ってきたときに非常に危険

狂犬病が日本に入ってこないように、海外からの動物の持ち込みにはワクチン接種や健康鑑定など厳しい規則が付けれています。ただし、動物の密輸入は後を絶たず、闇ルートから入る動物を完ぺきに制御できているとは言えません。また、ロシアや朝鮮、中国からの密航船なども問題視されており、それらの船に狂犬病の犬が乗っているということも考えられます。

WHOの発表によると、狂犬病の流行を阻止するためには、その国の犬の70%以上にワクチンが打たれている必要があるということです。http://www.who.int/rabies/animal/en/

万が一、日本に狂犬病が入り込んでしまった時、犬の大半に狂犬病への抵抗力がないと大変困ります。室内犬だけであれば室内に隔離すれば何とかなるかもしれませんが、散歩すらいけないという状況になりかねません。現在日本になくても、いざという時に困るため、ワクチン接種が義務付けられています。

現実的な問題点

狂犬病予防接種の目的は、上記のようにいざという時に備えることですが、接種しないと現実的にいくつか問題が起こってしまいます。

狂犬病予防接種は飼い主の義務

現在、日本では狂犬病予防法によって、犬を飼った場合には狂犬病のワクチンを打ち、届け出を行うということが決まっています。違反した場合にはその飼い主には20万円の罰金が定められています。

http://www.houko.com/00/01/S25/247.HTM

また、実際に指導に従わなかったことで逮捕されたという例も報告されています。

https://www.asahi.com/articles/ASL2M764LL2MTNAB01G.html

今現在は、狂犬病予防接種をしなかっただけで逮捕されるということはまずないですが、ペット愛護の観点からも今後厳罰化の方向に向かう可能性も十分あるでしょう。

入院拒否やペットホテルに預けることができないケースも

狂犬病予防接種を受けさせないことで怒る最も現実的な問題は、入院やペットホテルです。動物病院やホテルでは、狂犬病ワクチンを含むワクチンやノミダニ予防を行っていない犬は入院やホテルであずかれないという方針を打ち出しているところが少なくありません。他の犬の健康を考えるとそれは致し方のないことです。

突然病気になったり、預けなければならなくなった時に、狂犬病ワクチンを打っていないから預けることができないということになってしまったら、大変です。狂犬病予防接種を打つことをおすすめする理由はそういったところにもあります。

愛犬がトラブルを起こしてしまうと非常にやっかい

さらに問題となるのが、愛犬がトラブルを起こしてしまった時です。他の犬や人を噛んでしまった時はもちろん、そうでなくても犬嫌いの人を舐めたり接触しただけでも、場合によってはトラブルになります。そんな時に狂犬病ワクチンを接種していないと、狂犬病にかかっていないかどうか動物病院で狂犬病診断を数回受けないといけないこともあります。

狂犬病ワクチンを打っていれば特に問題にならなくて済むようなことでも、接種していないことで問題が起きくなってしまうことがあるということも狂犬病を打つ現実的な理由の一つです。

打てない理由がある時には猶予証明を

狂犬病予防接種は犬の飼い主の義務ですが、重い病気を持っていてとてもワクチンを打てる状態ではないというわんちゃんには、猶予証明を出すことができます。猶予証明を出せるかどうかはケースバイケースではありますが、ワクチンを打つことで調子を崩してしまう可能性が高い場合には、集合注射で無理にワクチンを打とうとせず、動物病院に相談してください。

狂犬病予防接種と登録は、無視をしてはいけない飼い主の義務

日本で犬を飼う以上、狂犬病予防接種と登録は飼い主さんの義務です。「うちの子くらいならいいだろう」という考えの人が増えてしまうと、万が一日本に狂犬病が入ってきてしまった時に大変なことになります。無用なトラブルを避けるためにも健康な子は必ず狂犬病のワクチンを接種しましょう。病気で不安な場合には、動物病院で狂犬病接種が可能かどうか相談するようにしてくださいね。

 

 

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