異物の誤食~食べ物じゃないものを食べてしまったらどうすべき?

先週からなぜか異物の誤食による来院が続きました。人の薬、ぬいぐるみ、ホウ酸団子、つまようじ……わんちゃんが間違って食べてしまう可能性のあるものは上げたらきりがありません。では、わんちゃんが何か変なものを食べてしまった場合にどうしたらいいのか、実際の例を挙げて解説いたします。

当院で催吐に使うのはトラネキサム酸。犬なら95%以上の確率で催吐ができます。

ケース1 チワックスのホウ酸団子の盗食

まずは、時間外で診察をしたチワックス(チワワ×ダックス)のホウ酸団子の盗食です。ホウ酸団子は犬に中毒を起こす可能性のあるホウ酸や玉ねぎなどが入っています。今回盗食してしまったのはまだ3か月の小さなチワックスちゃん。中毒の可能性が高いため時間外でも来てもらい、催吐を行いました。

食べ物と違い、薬はもともと吸収しやすくできています。催吐をするまでに時間がたてばたつほど吸収してしまい、中毒のリスクは上がってしまいます。今回は、催吐で大部分を吐かせられましたが、念のため、点滴もして帰宅してもらいました。

ケース2 チワワのつまようじの盗食

次は「チワワがつまようじを食べてしまったけれど、どうしたらいい?」という相談があった例です。つまようじや竹串、針などの尖ったものは、食道や胃、腸に刺さってしまう可能性があります。食べたら危険なものであるのは間違いないです。

ただし、これらの尖ったものには催吐をするにも食道やのどに刺さってしまう可能性があるというリスクがあります。飲み込んだ時に刺さっていれば、吐き気や口~喉の違和感、痛みなどの症状が出てきますが、それらがない場合、多くはすでに胃の中まで到達しています。胃の中に到達してしまった尖ったものは、催吐のリスクが高く、取り出すためには内視鏡が必要です。また、針や画鋲のような金属製のものはレントゲンにうつりますが、つまようじはレントゲンでは確認できないため、今どこにあるのかというのもわかりません。

お電話のお話では、つまようじを食べてしまったチワワちゃんは現状何も症状は出ていないということでした。飼い主様には、内視鏡のある病院に行くか、様子を見るかというお話をさせていただきました。つまようじは腸に刺さってしまうリスクはあるものの、意外とうまく便に出て来ることが多いです。内視鏡で取り出せられれば腸に刺さってしまう心配はなくなりますが、すでに胃から出てしまっている場合には内視鏡では取り出せません(どこにあるか確認する方法はCTくらいしかありません)。

結果、飼い主様は様子を見ることを選ばれ、少し時間はかかりましたが5日後くらいに便に出てきたというお電話をいただきました。つまようじは、消化管に刺さってしまうと大変なことになるため、必ず相談はしていただきたいです。もちろんつまようじなら食べても大丈夫というわけではありませんが、つまようじは便に出て来ることもあります。

ケース3 人の薬を飲んだシュナウザー

次は、ヒトの薬を飲み込んでしまったというシュナウザーちゃんです。

薬の誤食に関しては、その薬の種類や量によって対処法は変わってきます。今回はヒト用の抗アレルギー薬(H1ブロッカー)を数個飲んでしまったとのことでした。

H1ブロッカーは比較的副作用が少ないお薬で、少量であれば多少多く飲んでしまっても危険性が低い薬です。ただし、数粒飲んでいるとなると、犬の薬容量の10倍以上となり、どんな副作用が出て来るかわかりません。そのため、飼い主様と相談の上、催吐処置を行い、無事に吐かせることができました。

ケース4 ぬいぐるみを飲み込んだドーベルマン

最後にご紹介するのはぬいぐるみを食べてしまったドーベルマンです。大型犬ではかなり大きなものを飲み込んでしまうことも珍しくなく、時々ぬいぐるみやボールなどを飲んでしまったと言って来院されることがあります。

ぬいぐるみなど大きなものは、腸に詰まってしまうリスクがあり、催吐の適応となります。ただし、胃の入り口の大きさはある程度決まっており、飲み込めてもうまく吐けないということも少なくありません。また、私は経験したことはありませんが、吐く途中で食道に引っかかってしまったり、胃の入り口に一部引っかかって食堂で止まってしまう可能性もあります。その場合には、緊急的に内視鏡を行う必要があります。

そのあたりのリスクを説明して、飼い主様の同意が得られたため、催吐を行いました。その結果、無事に吐くことができ、私も飼い主さんも一安心です。吐いたものを見たところ、丸のみではなくかみ砕いて飲み込んでいたようで、吐きやすかったのも良かったようです。

何か飲み込んだ場合には自己判断をせず動物病院へ相談を

犬も猫も異物の誤飲は非常に多いです。夜間動物病院で勤務していた時代には一番多く診た疾患と言ってもいいかもしれません。

異物はその種類により、中毒や腸閉そくを起こす可能性があり、そのせいで亡くなってしまうことも珍しくありません。時間がたってしまうとやれることが限られてしまいますが、飲んですぐであればリスクや費用をあまりかけることなく処置ができることもあります。例えば、今回紹介したように、結果的に様子を見て問題なかったケースもありますが、様子を見たせいで状態が悪くなり、治療ができないということもあります。

何か変なものを食べてしまった場合には、時間との勝負になることも多いため、受診するかどうかは別としてまずは迷わず当院に相談するようにしてくださいね。

 

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