お薬の飲み方、大丈夫ですか?

わんちゃんや猫ちゃんの病気の中には、心不全・腎不全・慢性関節炎・免疫疾患など、完治はできないものの薬を飲むことで元気に暮らせる病気は少なくありません。そんな慢性疾患で大切なのは、しっかりお薬を飲ませていただくことですが、ただ飲ませていればいいというわけではなく、その用法をしっかり守ることも必要です。今回はそんなお話をさせていただきます。

IBDのお薬、シクロスポリンは投与法に注意

今回ご紹介するのは、ヨークシャーテリアのレン君(仮名)。レン君は炎症性腸疾患(IBD)という胃腸の病気を抱えています。IBDは自分の免疫が自分の胃腸を攻撃してしまう病気で、下痢や嘔吐、食欲不振などを引き起こします。お薬を飲むことでうまく症状を抑えて元気に生活することができるケースが多い一方で、完治させることは難しい病気です。

IBDは薬でコントロールする必要あり

IBDの治療をするためには、食餌療法を行うこともありますが、自分の腸を攻撃してしまっている免疫を抑えるお薬の投薬が必要になります。そのお薬は少し飲ませ方に注意が必要です。

レン君の病気が見つかったのはもう数年前とのこと。ずっとお薬を飲んでうまく維持ができていたようです。当院での初診が3月上旬。病気のコントロールができているか、血液検査をしてみました。

タンパクがかなり低下している!

すると・・・タンパクがかなり下がってしまっています。

IBDでは、攻撃された腸からタンパクが漏れてしまい、低たんぱく血症になります。病気がうまくコントロールできているかどうかは、たんぱくの濃度で判断していくことが多いです。

昨年、総蛋白4.7mg/dl、アルブミン2.3mg/dlであったたんぱくの量が、当院初診時にはそれぞれ4.0、1.2と下がってしまっていました。アルブミンが1.5以下になると腹水やむくみなど低たんぱく血症の症状が出やすく危険だと考えます。

薬の増量にて対応してみる

レン君は免疫抑制治療として、シクロスポリンとプレドニゾロンというお薬を飲んでいます。IBDは同じ薬を飲んでいても時々病状が悪化することもあり、その場合には薬を一時的に増量して経過を見ていくことがあります。今回は一時的にプレドニゾロンを増量して様子を見ることにしました。

1週間後・・・変化なし

そして1週間後、たんぱくの量を再チェックです。

総蛋白4.2、アルブミン1.2と総蛋白は若干増加したものの、重要なアルブミンは1.2と変化はありません。プレドニゾロンはあまり増やすと副作用が怖いため、どうしようかと飼い主さんと相談していたところ、意外なところに原因かもしれない理由が見つかりました。

シクロスポリンは空腹時投与

それがシクロスポリンの投与方法です。犬の薬は一般的に、投与のタイミングがそれほど厳密ではないものが多く、ご飯と一緒に食べさせることが多いです。しかし、シクロスポリンは例外であり、食餌と同時に投与することで吸収が不安定になってしまうことがあります。

レオちゃんの場合も、シクロスポリンを食事と同時に投与していたことが判明し、それが原因で薬の効果がいまいちである可能性が出てきました。シクロスポリンはカプセル製剤で、なかなかそれだけで飲ませることは難しいですが、できるだけ空腹時に使用するよう指示し、薬の増量はせず、2週間後に再検査を行いました。

アルブミンが上がった

2週間後、特に体調の変化はなかったとのことで、再度血液検査を。

その結果、総蛋白5.5、アルブミン1.5と、蛋白、アルブミンともに増加してくれていました。他の要素がある可能性もありますが、シクロスポリンを空腹時に飲ませていただいたことで、薬の吸収が安定したのではないかと考えられます。

薬の投与法は必ず確認を

今回紹介したシクロスポリンのように、投与のタイミングに注意が必要な薬もあります。また、同時に投与することで他の薬の吸収を阻害してしまうお薬もあります。さらには、飲ませ方によっては危険な食道炎を起こすリスクのある薬もあります。時間があれば飲ませ方に注意の必要な薬についての記事も書いていこうと思います。

お薬の飲ませ方を間違えて強い舞うと、お薬の効果が落ちてしまったり、有害作用が出てしまうこともあります。動物病院で薬を処方された場合には、必ずその使用法の注意点については確認するようにしてくださいね。

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