鼻カテーテルでの栄養補給

現在、当院には腎臓病と口内炎で食欲のない猫のたろう君(仮名)が入院しています。腎臓の数値が高く食欲が落ちているうえに、ひどい口内炎による強い口の痛みが原因でご飯を食べることができません。そこでたろう君には鼻カテーテル(びかてーてる)を入れて栄養補給をしています。今回は、鼻カテーテルについてお話しさせていただきます。

鼻カテーテルとは

鼻カテーテルは、鼻の穴から食道に入れるチューブのことです。経鼻カテーテルとも呼ばれます。

特別な設備や麻酔などがなくても設置することができるため、何らかの原因で食欲が落ちている場合の栄養補給の方法として、犬や猫によく使います。

鼻カテーテルの設置方法

鼻カテーテルは鼻の穴からカテーテルを入れていくことで比較的簡単に設置できます。

まれにカテーテルが気管の方に入り込むことがあるため、カテーテルを入れたら食道に入っていることを確認する必要があります。確認の方法には、空気の吸引や少量の水の投与、レントゲン撮影などがあります。

カテーテルが外に出ている部分は、頭の上に固定して抜けないようにします。

鼻カテーテルによる給餌方法

鼻カテーテルに使う鼻の穴に入るくらいの太さのカテーテルが限界です。そのため、その細いカテーテルから入れることのできる液体の栄養しか入れることができません。たろう君には液体の猫用栄養剤「リーナルリキッド」を与えています。それ以外の方法としては、ウェットフードを水と混ぜてミキサーにかけることで液体のフードを作ることもできます。

液体の栄養剤をシリンジ(注射器のポンプ)に吸い、それをカテーテルの先に付けてゆっくり入れていきます。液体が冷たすぎると猫がびっくりしていますので、冷蔵保存した栄養剤は常温に戻して与える必要があります。

たろう君の現在

たろう君は、鼻カテーテルによる栄養補給以外にも現在いくつかの治療を併用しながら治療をしています。

点滴

たろう君が来院した際には非常に強い脱水が認められました。腎臓病による水分の喪失と口内炎による水分の接種不足が同時に起き、非常に強い脱水を引き起こしたものと思われます。点滴により体の水分を補い、老廃物を排泄するお手伝いをさせていただいております。

脱水はかなり改善してきていますが、腎臓の数値がなかなか下がってきてはいないのが現在の問題点です。

脱水に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。記事内の動画にうつっている猫ちゃんはたろう君です。

痛み止め・抗生剤

口内炎の痛みや感染に対する治療として、鎮痛薬と抗生剤による治療も行っております。少しずつ効果が出てきており、最初は口を痛そうに頭を振るそぶりが多かったのですが、数日の治療により、そういった動作が無くなり、フードにもかなり興味を示すようになってきました。

レーザー治療

口内炎の疼痛緩和並びに治癒促進のために先日導入した半導体レーザーによる治療も行っています。口内炎のある部分にレーザーを照射するだけでなく、壊死した口唇部分をレーザーで焼くことで治癒を促進しています。薬と違い副作用のない治療であり、長期的な口内炎のコントロールには非常に期待をしている治療方法です。

食欲増進剤

口の痛みがかなり落ち着いてきたため、本日より食欲増進剤(ミルタザピン)の投与を開始しました。粉砕して水に溶かしたミルタザピンを鼻カテーテルから投与しました。腎臓病などの食欲不振には非常に高価のあるお薬で、体にも特別負担をかけないお薬ですので、食欲不振で悩まれている飼い主様はぜひご相談くださいね。

まとめ

痛みを伴う病気や腎臓病などの慢性疾患では、食欲が全くなくなってしまう猫ちゃんも多いです。口からフードを食べさせる強制給餌も一つの方法ですが、鼻カテーテルは猫にも飼い主さんにもストレスが少なく、フードを与えられる方法の一つになります。

鼻カテーテルには液体の栄養しか入れれないとか、カラーが必要になるなどというデメリットもありますが、何らかの事情で自分でなかなかご飯を食べることができない猫ちゃんの飼い主さんは一度ご相談してみてください。鼻カテーテルだけでなく、食欲不振への対応策にはご紹介したように薬やレーザー治療、点滴以外にも食道チューブや胃瘻チューブなどもありますので、お家のわんちゃん・猫ちゃんに最善の方法を取れるといいですね。

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