無事生まれました!

こんにちは。今回は嬉しいニュースをお届けします。以前、妊娠鑑定の記事を書かせていただいていたシーズーちゃん(ショコラちゃん:仮名)が無事に自然分娩を終えました!ほぼ予定日通り、初産で6頭にも関わらず、比較的順調に産むことができましたので、ご報告いたします。

以前の記事はこちらを参考にしてみて下さい。

犬は自宅出産が基本

基本的に動物の場合は、母犬(母猫)が安心して出産できるよう、自宅出産が基本です。

ショコラちゃんも他の子と同じように、自宅出産の準備をしていただいていました。出産が始まったのは6月7日お昼、大体予定日通りです。当院に電話がかかってきたのが15時過ぎでした。

3頭までは無事に産まれたが・・・

「3頭無事に産まれたが、4頭目が出てくる前に袋のようなものが出ている」とのことでした。お話を聞いてみると、初産には珍しく最初の三頭は1時間程度の間隔でうまく生まれてくれたそうです。しかし、その後、何か袋のようなものが陰部から出てきて、2時間程度陣痛が来ないということでした。

お電話だけではそれがどのような状況であるのかが把握できませんでしたが、お母さんが比較的元気だということ、その袋に胎児が入っていないとのことでしたので、もう少し様子を見て連絡していただくようにしました。出産前や出産の合間に母犬の環境を変えてしまうと、自然分娩ができなくなることがあります。

17時過ぎ、来院

その後、胴かなと思っていると、ショコラちゃんと飼い主さんが、子犬と一緒に17時過ぎに来院しました。「まだ袋状のものがでたままになって出産が止まっている」とのこと。まずは、診察をしてみます。

すると、確かに陰部から胎胞のような袋状のものが垂れ下がっています。「奥に胎児がいるのでは・・・」と思い、陰部に指を入れながらその袋を慎重に引っ張り出しました。すると出て来たものがこちらです。

これ、なんだかわかりますか?実際に見るのは私も初めてですが、おそらく妊娠中期に成長できずに吸収されてしまった胎子の名残だと思われます。写真下部が胎盤・写真上部が胎児が入っていた胎胞のようです。袋を破ってみると、緑色の液体だけが含まれていました。

念のために検査を

さて、袋状のものをショコラちゃんから取り出しましたが、これで残りの三頭を産めるかどうかはわかりません。そこで、念のために超音波検査と血液検査を行いました。

超音波検査

残りの3頭の胎児が元気かどうかを見るのが超音波検査の目的です。この時点で、心拍が下がってきている胎子がいる場合には、帝王切開を考えないといけないかもしれません。

ショコラちゃんの場合には、3頭とも元気、まだ時間に余裕はありそうです。

血液検査

胎子の数が多かったり、出産に時間がかかったりすると、母犬が消耗してしまうことがあります。特に低血糖や低カルシウム血症を起こしていると出産できないばかりか、母親の命も危険にさらされてしまいます。念のため、血液検査でそれらの異常がないかどうかを見てみました。

血液検査では血糖値も血中カルシウム濃度も問題なく、まだ自然分娩に耐えられると判断しました。

陣痛促進で出産補助

ショコラちゃんの場合は、まだ帝王切開に踏み切らないで自然出産を待つことが可能だと判断しましたが、最後の胎児が産まれてから3時間以上、陣痛も止まってしまっています。そこで、自然出産を補助するための治療を行うことにしました。

フェザーリング

フェザーリングは膣の上部を指で刺激して陣痛を誘発する方法です。病院では手袋をし、陰部から人差し指を挿入し、膣の上を少し強めにこすります。うまくいくと、この刺激だけで数分~10分程度で陣痛が始まります。

陣痛促進剤の投与

オキシトシンというホルモン剤を注射で打つことで、陣痛を促進する方法も有効です。ただし、この方法は、母犬の状態によっては余計に消耗させてしまったり、子宮破裂を起こす可能性もゼロではありません。

今回のショコラちゃんは、超音波検査や血液検査で陣痛促進剤の投与の効果がありそうと判断したため、フェザーリングとともに陣痛促進剤を使いました。

駐車場の車の中で産まれた!

そうして診察が終わり、またお家で出産を待っていただくことにしました。

そして、お会計をし、病院を出られたと思ったらすぐに飼い主さんが戻ってこられました!どうしたのかと思ったら・・・なんと車の中で次の子が生まれたとのことです。すぐに見せていただいたたところ、うまれたての男の子が元気に鳴いています。とりあえず、そのまま帰って、残り2頭の出産を待っていただくことにしました。

すべての診察が終了したのが19時半。すぐに電話をかけて確認させていただいたところ、残り2頭も無事に産まれたとのことでした。産まれた子はみんな元気にお乳も吸っているとのことで一安心です。

翌日来院

出産翌日、生まれた子とお母さんを連れて来院していただきました。最初に載せた写真はその子たちです。とっても元気に動き回るので、写真撮影が大変です(笑)子犬ちゃんたちの奇形などがないことを確認させていただきました。

最後の子の胎盤が出てきていないようだということで、少し心配なこともありますが、お母さんはお熱もなく元気そうです。お薬を使いながら少し様子を見ることにしました。

愛犬・愛猫の妊娠は必ず相談を

ヒトも動物も、妊娠・出産は命がけの行為です。犬や猫は安産のイメージがありますが、犬では帝王切開が必要になることも少なくありません。

全身状態だけでなく、臍ヘルニアや鼠径ヘルニア、骨盤の奇形や骨折歴など、難産のリスクが高くなる病気は少なくありません。また、潜在精巣や股関節形成不全(股異形成)などの遺伝が疑われる病気や、猫エイズ・猫白血病ウイルスなど母猫から子猫にうつってしまう病気もあります。愛犬・愛猫の妊娠を考える場合には、母犬のリスクだけでなく、子犬の将来のこともありますので、必ず動物病院へ相談してください。

また、愛犬や愛猫が妊娠している可能性がある場合にも、動物病院を受診していただければ妊娠鑑定や妊娠頭数・出産予定日などのお話をさせていただくことができます。さらに出産までの準備やアドバイス、出産時の流れなどのご説明をさせていただけ、お家で戸惑ってしまうこともかなり少なくなります。なにより、今回のショコラちゃんのように、妊娠時のデータなどがあれば、出産補助のための適切な処置を行うこともできます(実際に、ショコラちゃんが出産時にいきなり来ていたら、陣痛促進剤の準備ができていませんでした)。

愛犬・愛猫の妊娠・出産をお考えの方は必ず動物病院に相談するようにして下さい。

まとめ

今回ご紹介したショコラちゃんは、死亡胎子の娩出や陣痛促進剤の投薬などの必要はあったものの、比較的スムーズに出産を終えることができました。

ただし、出産が夜中になり、どうしていいかわからなくなってしまったり、自然分娩できず死産や母親も危険な状態になってしまうことも少なくありません。

犬や猫の妊娠・出産はあまり甘く考えないようにし、まずは動物病院へ相談するようにしてくださいね。

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