まだまだ多い動物の寄生虫~疥癬症と皮膚検査の大切さ

こんにちは。そろそろ本格的な夏ですが、暑くなってくると多くなってくるのが皮膚病です。動物保険のアニコムが発表している疾病統計でも動物病院の受診理由のトップが外耳炎を含めた皮膚病となっています。皮膚病にはかなりいろいろな種類の病気がありますが、今回は皮膚の寄生虫、疥癬症についてご紹介します。

足の指の毛が抜けて来た

今回ご紹介するわんちゃんは、ヨークシャーテリアのモモちゃん、6歳です。足の指を気にして舐めていて、毛が抜けてきたという主訴で来院されました。時々出血もするとのことです。飼い主さんは怪我ではないかと心配されています。

少し前に他の動物病院を受診したときは少し様子を見るように言われたとのことです。その後徐々に広がってきたため、当院を受診されました。診察してみると、確かに足の指の毛が抜けて、皮膚がガサガサになってしまっています。

診断のために皮膚検査を

皮膚病の診断には、いくつかの方法がありますが、局所的な皮膚病ではまずは皮膚検査を行います。今回の例では、細菌や真菌、寄生虫などの感染性皮膚炎が疑わしく、アレルギーやアトピーの可能性も考えられます。

今回は、セロハンテープを使って皮膚の表面をこすり、それを顕微鏡で見るという簡単で負担の少ない検査を行ってみました。そうしたところ、こんなものが見つかりました。以下の動画は、カメラ付き顕微鏡で実際に飼い主さんに見ていただいたものと同じものになります。

画面中央で動いている丸っこい虫、それこそが今回の皮膚病の原因です。この虫は疥癬(かいせん)と呼ばれるダニの一種です。

疥癬とは

疥癬は犬を含めた動物の皮膚に住むダニの一種です。ダニといってもマダニとは全くの別物であり、目には見えません。疥癬は別名「ヒゼンダニ」と呼ばれることもあります。

疥癬で最も問題になるのがその痒みです。疥癬は、犬の皮膚の成分を食べて生きていますが、疥癬トンネルという数㎜の深さの穴を犬の皮膚に付くって生活しています。そのため、疥癬が皮膚に穴を掘るたびに犬に強い痒みを起こします。あらゆる皮膚病の中でも疥癬による痒みは最高レベルと言われていますので、そのストレスなどで犬が体調を崩してしまうこともあります。

犬だけではなく猫にも疥癬は多く発生し、特に子猫で問題になります。そのほか、近年では野生のタヌキなどに疥癬が流行し、重度の皮膚病や強い痒みから衰弱死をするタヌキが増えているようです。犬の疥癬はヒトにうつることはありませんが、人の皮膚を噛むことはありますので、飼い主さんの皮膚にも痒みを起こすことはあります。

疥癬の治療法

疥癬の治療法には、いくつかの選択肢がありますが、副作用が少なく比較的効果が高いということもあり、私は背中に垂らすスポットオンタイプの薬(レボリューション)を使うことが多いです。レボリューションはフィラリアやノミに効く薬であり、飲み薬が飲めないわんちゃんのフィラリア予防薬として使われることも多いです。レボリューションには疥癬治療への承認はありませんが、ミミヒゼンダニの治療薬としての認可は下りており、その近縁種である疥癬にも効果があるお薬です。

レボリューションで効果のない場合には、イベルメクチンやドラメクチンなどの注射や内服薬を使うこともあります。それらの薬は、何度か投与が必要となり、レボリューションよりも副作用には注意が必要な薬であるため、まずはレボリューションを投与して2週間後に再診に来ていただくことになりました。

たかが皮膚病、されど皮膚病

犬や猫には皮膚病が非常に多いです。「皮膚病があっても元気だから」などと放置されてしまうこともありますが、疥癬などのかゆみを伴う皮膚病は動物にとって大きなストレスになります。

たかが皮膚病ではなく、されど皮膚病です。当院では皮膚病のセカンドオピニオンも受け付けておりますし、異常があった場合には今回の疥癬虫を実際に見てもらったように、飼い主さんの理解をいただけるようなインフォームドコンセントを大切にしております。何か気になる症状がある場合には早めにご相談くださいね。

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