病院で行うシャンプー療法(薬浴)~皮膚糸状菌症の子猫ちゃん

暖かくなるのと増えて来るのが皮膚病の動物です。皮膚病にはさまざまな原因があり、その原因によって治療法にもいろいろありますが、幅広い皮膚病に使えて、体に負担が少ない治療法の一つがシャンプー療法です。皮膚病の動物に、薬用シャンプーを使う治療法は薬浴と言います。現在、当院で薬浴治療を始めた子猫ちゃんがいますので、ご紹介いたします。

皮膚糸状菌症の子猫

薬浴療法をスタートしたのは2カ月齢の猫ちゃん(ユキちゃん:仮名)。体重1㎏程度の可愛い真白の子猫ちゃんです。

顔に脱毛があり動物病院へかかったところ、皮膚糸状菌症と診断され、内服薬の投薬治療を行っているとのことです。しかし、内服薬を飲んでいても顔の脱毛が良くなって来ないとのことで当院を受診されました。

皮膚糸状菌症とは

皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)は、いわゆる「カビ」の一種です。カビとはいってもシンクや食品に生えるカビとは種類が違い、土壌菌といって土に潜んでいるカビになります。このカビは動物の毛が大好きです。そのため、動物の皮膚に糸状菌が付いてしまうと、被毛を食べながら増殖し、犬や猫に脱毛を引き起こします。

皮膚糸状菌は動物と人との間で感染を引き起こす「人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)」に分類される感染症です。ヒトの皮膚にも以下のような赤い円状の皮膚病を引き起こすことがあります。

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動物の皮膚糸状菌症の治療法

犬や猫では皮膚糸状菌症が非常に多く発生します。特に免疫力が弱い子猫や子犬でその発生率が高いようです。皮膚糸状菌症は抗真菌薬によって治療しますが、その方法にはいくつかの選択肢があります。

外用治療

皮膚糸状菌症の発症初期で病変が小さく限局している場合には、抗真菌薬の外用薬を塗布する外用療法が有効です。外用薬は体への負担も少なく、塗るだけですので比較的簡単な治療方法になります。

ただし、全身に広がってしまっている場合にはすべての病変に塗るのは難しく、外用療法での治療ができません。また、口や目の周りなど舐めてしまったり、目に入る危険のある場所にも外用薬による治療は不向きになります。

内服治療

抗真菌作用を持つ内服薬による治療です。特に全身に広がった皮膚糸状菌には内服薬の治療が必要になります。

ただし、抗真菌薬は比較的副作用の強い薬であり、低用量からスタートするなど、慎重に投与しないと肝臓などに強いダメージを与えてしまうこともあります。

シャンプー療法

シャンプー療法は最も手間のかかる治療法ではありますが、内服薬のような副作用もなく、外用薬が使えない全身性の糸状菌症にも有効な治療法です。

当院のシャンプー(薬浴)風景。 温水で濡らした後、薬用シャンプーで2度洗いをし(2度目は薬効成分を浸透させるために5分間放置)、しっかりゆすいだ後、乾かします。 当院には大型犬も入れるシャンプー台と温水シャワーを完備して、皮膚病の動物のシャンプー療法を実施できるようにしております。

薬浴の手順

では当院で行う訳翼手順について簡単にご説明します。

  1. ブラッシング
    まずは毛の表面にある汚れを簡単に落とします。ブラッシングをすることで毛の汚れが皮膚に付いてしまうのを防ぎ、シャンプーの泡立ちも良くなります。ブラッシングをしておくことでシャンプーを使う量を減らせ、シャンプー代の節約とすすぎ時間の短縮につながります。
  2. 被毛を濡らす
    温水シャワーでシャンプーする全身の被毛を濡らします。眼や耳にシャンプーが入ってしまわないよう、エリザベスカラーをしておきます。
  3. 1度目のシャンプー
    事前に泡立てて置いたシャンプーでまず一度目のシャンプーを行います。1度目のシャンプーの目的は汚れを落とすことです。物理的に落とせる汚れや菌を洗い流します。
  4. ゆすぎ
    1度目のシャンプーを温水でゆすぎます。シャンプーに付いた汚れも一緒に洗い流していきます。
  5. 2度目のシャンプー
    2度目のシャンプーは薬効成分をしっかり皮膚に浸透させるために行います。そのため、泡立てたシャンプーで体を洗った後は、5~10分ほど洗い流さずに放置します。
    薬用シャンプーの効果を出すためには、この時間が必ず必要になります。
  6. ゆすぎ
    シャンプーの成分をしっかりとゆすぎます。5~10分程度かけてシャンプーの泡が残らないように丁寧にゆすいでいきます。
    しっかりゆすげていないと、シャンプー後のふけや痒みなどの原因になりますので、注意がは必要です。
  7. 乾燥
    バスタオルとドライヤーを使ってしっかり乾かしていきます。ドライヤーの風を怖がる猫ちゃんなどではタオルドライのみで行います。また、痒みの強い皮膚病を持つ動物では温風によって皮膚の痒みが増してしまうことがあるので、低温での乾燥が必要になります。
    乾燥が不十分だと、毛球ができたり冷えて風邪をひいてしまったりすることがありますので、乾燥もしっかり行うことが大切です。

薬浴は体に負担の少ない皮膚病治療

薬浴は副作用がほとんどなく、動物の体に負担の少ない治療法です。薬浴をすることで、薬の減量や休薬ができるケースも多く、他の治療と組み合わせて行うこともおすすめです。

シャンプーを嫌う動物も多く、お家では難しいという飼い主さんも多いようです。当院では通常のシャンプーは行っていませんが、皮膚病の子の薬浴を3,000円~(動物の大きさや皮膚病の状態によって費用はかわります、動物の性格によってはできないこともあります)行っていますので、皮膚病でお悩みの方は是非ご相談くださいね。

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