猫の歯周病と病気のリスクの関係

歯周病は口だけの問題ではなく、全身的な病気のリスクも高めてしまう、犬や猫の長生きの敵と言っても過言ではありません。今回は、猫の歯周病と病気の関係をまとめたアメリカのコーネル大学の報告を見つけたので、ご紹介いたします。歯周病は病気だけでなく、攻撃性にもつながる可能性があるという気になる内容もあるので、愛猫家の皆さん、ぜひ読んでみて下さい。

歯周病が高めるさまざまなリスク

歯周病と病気のリスクの関係

まずは以下の表を見てください。こちらは歯周病とさまざまな病気や状態の関連性(リスク)をまとめた表になります。

病気(状態) リスク
過体重 5.0倍
心雑音 4.5倍
肥満 4.5倍
FIV 2.8倍
攻撃行動 2.2倍
糖尿病 1.5倍
避妊・去勢手術 1.5倍

 

この表の結果は、肥満だから歯周病になりやすいのか、逆に歯周病があると肥満になりやすいのか、どちらが原因でどちらが結果なのかは不明です。ただし、歯周病と病気の間に明らかな相関性がみられているのは確かです。

たとえば、歯周病を持つ猫では歯周病のない猫と比べて心雑音を持つ猫が5倍多いという結果になっています。心雑音は心不全のサインの一つですが、もし愛猫に歯周病がある場合には、心臓が悪くなっている、もしくは心不全になるリスクが他の猫の5倍高いということになります。

歯周病は攻撃性を高める?

この報告からは、歯周病が攻撃性を高める可能性も考えられます。その理由は不明ですが、歯周病による口の痛みや違和感などのストレスに伴うイライラ感から攻撃性が高まる可能性もあります。

どちらが原因でどちらが結果なのかは不明であるため、攻撃性がある猫の方が歯周病になりやすいという事である可能性も否定はできませんが、歯周病の予防や治療によって愛猫が穏やかに生活でき、飼い主さん家族と猫との関係性も改善できるかもしれません。病気だけではない、歯周病のリスクの興味深いデータとなっています。

避妊・去勢手術は歯周病のリスクを高めるのか?

上の表で、もう一つ気になるのが、避妊・去勢手術をした猫の歯周病リスクが1.5倍になっているという点です。果たして避妊・去勢手術が歯周病のリスクを高めるのでしょうか?

こちらに関しては、現段階では否定も肯定もできません。ただし、肥満と口内炎の関係がかなり高いということからは、避妊・去勢手術をすることで肥満になりやすくなった猫の歯周病のリスクが高まっている可能性は高いのではないかと考えます。つまり、避妊・去勢手術⇒歯周病という直接の関係ではなく、避妊・去勢手術⇒肥満⇒歯周病という間接的な関係であるのではないかと考えます。

そのため、避妊・去勢手術をしている子では特に、肥満にならないように気を付けることが、歯周病の予防のため、ひいては猫の長生きや穏やかな生活のために大切なのかもしれません。

歯周病のある猫では心不全や糖尿病に注意

病気に関しては、歯周病がある猫ではない猫と比べて心雑音のリスクが4.5倍、糖尿病のリスクが1.5倍高くなっています。歯周病がある猫ではこれらの病気がないかどうか定期的にチェックしてもらうと同時に、これらの病気のリスクを減らすために、歯周病の治療や家でのケアを実践することをおすすめします。

歯周病の予防・治療方法

家で行う歯周病の予防・治療

歯周病の予防や治療は、家で行うこともできます。長期的なデンタルケアのためにはホームケアが非常に大切です。

歯周病の一番大きな原因は、歯に付く歯垢や歯石です。猫の口の中はアルカリ性で、酸性であるヒトの口の中と環境が大きく異なります。アルカリ性の環境下では虫歯菌は増えにくいですが、その代わり歯石が非常にできやすくなっています。ヒトでは歯垢を3週間放置すると歯石になりますが、ネコではたった1週間放置しただけで歯石ができてしまいます。そのため、歯石の予防が大切で、日頃からの歯磨きが重要になります。

歯磨きの方法に関してはこちらのページを参考にしてみて下さいね。

動物病院で行う歯周病の予防・治療

お家では日常のケアによる歯周病の予防がメインになってきますが、動物病院では歯周病の予防及び治療を行うことができます。お家でのケアと組み合わせることでより効果的な歯周病の予防や治療につながります。

スケーリング

歯石が原因で起こる歯周病では、スケーリング(歯石除去)が非常に効果的です。スケーリングに関してはこちらのページをご覧ください。

お家でのケアでは、ついている歯石を取ることはできません。すでに歯石が付いてしまっている場合には、まずは歯石を除去してそのあとしっかりホームケアをするようにしてください。

投薬治療

歯周病がひどい場合には、抗生剤や消炎剤などの治療薬が必要になることもあります。

歯周病菌は心不全や腎臓病など命に係わる病気を引き起こす可能性があると言われていますので、しっかりした治療が必要です。また、歯周病から口内炎を起こしてしまっている場合にも、お薬が必要になることがあります。

まとめ

歯周病は口の中の問題だけでなく、さまざまな病気のリスクを高めてしまいます。また、病気だけでなく攻撃性を高めてしまい、飼い主さんと猫との絆を悪化させてしまう可能性もあります。

愛猫が健康で長生きをし、飼い主さんと良い関係を築けるためにも、歯周病の予防や治療を積極的に行うようにしましょう。気になることがあれば、早めにご相談してくださいね。

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