犬や猫に夏バテってあるの?

今年の暑さは尋常ではありません。35℃を超える猛暑日が続き、夏バテになったり、クーラー風邪をひいたり、体調を崩してしまっている人も多いのではないでしょうか?

ペットを飼っていると、犬や猫にも夏バテってあるの?って思われる飼い主さんも多いと思います。今回は、「夏バテ」をテーマにお話ししたいと思います。

そもそも夏バテってなに?夏バテの定義とは

「夏バテ」は良く使う言葉ですが、なんとなく使っている人は多いと思います。私も今回記事を作るために調べるまでは、正確な意味を知らずに夏バテという言葉を使っていました。

夏バテは自律神経の乱れ

夏バテは「自律神経の乱れからくる体調不良」のことです。自律神経とは、交感神経と副交感神経からなる不随意神経(意識的に動かすことのできない神経)になります。

腸の動きや血圧などは自律神経によって支配されており、自分の知らないところで体の調子を整えてくれるのが自律神経なのです。自律神経はまた、体温調節のために24時間休みなく働いており、夏の暑さによって自律神経が疲れてしまったりバランスが乱れてしまうと、夏バテが発生します。

気温が上がると体温を下げるために自律神経が働く

犬や猫、人間を含めた動物の体は、周囲の環境温度に合わせて体温を上げたり下げたりするような調節を行っています。

体温の調節には、意識的に行う「行動性体温調節反応」と無意識のうちに行われる「自律性体温調節反応」の2種類があります。行動性体温調節反応は、我々が暑いと感じて冷たいものを飲んだり、冷房のスイッチを入れるような行動です。犬や猫であれば涼しいところを探して移動したり、体温をあげないよう寝ていたりなどと言った行動が行動性体温調節反応になります。

一方、自律性体温調節反応は自律神経の中の交感神経が主に働きます。周囲の気温が暑い場合、

  • 汗腺から汗を出す(犬や猫では口をハァハァするパンティングを行う)
  • 皮膚の血管平滑筋を弛緩し、血管を拡張する⇒血管から熱を体外へ逃がす

といった反応が無意識のうちに起こります。このような反応は交感神経の支配によって起こります。

高温と温度差が自律神経を乱す

夏に熱い状態が続くと、常に体温を下げるように働く自律神経が疲れてきてしまいます。クーラーをつけると体温調節をあまり行わなくても良くはなるものの、気温が変化や冷えにより自律神経の動きが大幅に変わってバランスが崩れてしまいます。

つまり、夏バテは夏の暑さと冷房による温度差のどちらも影響して起こる体調不良であると言えるでしょう。

犬や猫の夏バテの症状とは?

では、犬や猫の夏バテの症状はどのようなものでしょうか?

犬や猫では自覚症状がわからない

人の場合、夏バテというと

  • 何となく体がだるい
  • 食欲がわかない
  • やる気が出ない

などといった症状が出て来ることが多いです。ただし、これらの多くは自分が気付く自覚症状であり、言葉をしゃべることのできない犬や猫では自覚症状はわかりません。

犬や猫の夏バテのサイン

言葉がしゃべれない犬や猫では、その行動に夏バテのサインが出ます。犬や猫の夏バテでは、以下のような症状が起こります。

  • 食欲の低下(ご飯の食べが悪い=食べるスピードが遅い、食べる量が少ない)
  • 元気の低下(散歩に行きたがらない、寝ている時間が多い、いつもより遊びの時間が少ない)
  • 下痢・嘔吐

夏バテと病気の鑑別は難しい

以上のように夏バテの症状は、他の病気でもよく出てくる非特異的な症状です。人でも夏バテだと思っていたら重病だったというケースがありますが、犬や猫でも夏バテと他の病気とを症状だけで鑑別するのは非常に難しいです。そのため、「夏バテかな?」と思っても、心配であれば動物病院を受診していただくことを強くおすすめします。

特に注意しておいてほしい点は以下の通りです。

  • 体重が急激に落ちていないか?
  • 舌の色が白くないか?
  • 体が熱くないか?
  • 涼しい場所でも呼吸が荒くないか?
  • 激しい下痢や嘔吐がないか?
  • 水を飲む量や尿量が異常に多くないか?

こういった異常がある場合、単なる夏バテではない病気が隠れている可能性があります。これら以外にも病気のサインはかなりいろいろありますので、夏バテかなと感じたらまずはそれ以外に症状がないかどうかしっかり観察してみて下さい。

犬や猫の夏バテを防ぐために

では、犬や猫の夏バテを防ぐためにはどうしたらいいか、考えてみましょう。

適正な温度管理

昔は犬は外で飼い、猫は家の中と外を自由に行き来するという飼い方が一般的で、ペットのためにエアコンをつけるということは一般的ではありませんでした。

しかし、今は

  • 地球温暖化による猛暑
  • 家の気密性の向上に伴う室内の風通しの悪さ
  • 寒い地方で飼われていた犬種・猫種の導入
  • 肥満動物や超高齢動物、重病でも頑張って生活している動物の増加

などの要因により、日本の夏をエアコンなしですごさせるには非常に厳しい状況となっています。そのため、エアコンなどで適切に温度管理をしてあげることは熱中症予防だけでなく、夏バテ予防にも重要です。

ただし、冷えすぎは夏バテの原因になりますので、冷えすぎにも注意をしてください。暑さに強い犬種・弱い犬種、寒さに強い犬種・弱い犬種などもありますので、適正な温度はその犬種や状態によっても違ってきますが、短頭種や大型犬では25~28℃、小型犬や猫では28~30℃で設定してあげるといいことが多いです。

エアコンの風が直接当たったり、部屋が乾燥しすぎるのも良くはありませんので、そのあたりにも注意していただくといいでしょう。

適切な体重管理

犬にも猫にも体温を適切に管理するための「恒常性維持」の機能がいくつか備わっています。

  • 脂肪による熱の貯蔵
  • 呼吸(パンティング)による熱の放出
  • 筋肉による熱産生

他にも恒常性維持の機能にはいくつかありますが、これらの機能によって犬や猫は常に体温を38~39℃に維持しています。

これらの機能は、太り過ぎややせすぎによってうまく働かなくなってしまいます。特に短頭種で肥満になると、熱が溜まりやすく、放出しにくくなってしまい、熱中症や夏バテの原因となります。

適切な体重管理も夏バテ防止にとってとても大切です。

寒暖差に注意

涼しい室内と、高温となっている外との寒暖差は、自律神経を混乱させる原因になります。寒暖差は極力少なくすることが望ましく、真昼の暑い時間に涼しい部屋から散歩に連れ出すなどと言ったことを続けると、夏バテの原因となることがあります。

そういったことを避けるためには

  • 必要以上に部屋を涼しくし過ぎない
  • 散歩は涼しくなってから連れ出す

などといった対策が有効です。

まとめ

犬や猫にも夏バテは多いです。特に今年の夏は暑く、夏バテを起こしたと思われる犬や猫を診察する機会も増えています。

適切な温度管理や環境管理を行い、夏バテを予防するとともに、夏バテと勘違いしやすい病気を見逃さないためにも、体調不良があれば一度ご相談くださいね。

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