猫の膿瘍

基本的に犬もな子も人も、かかる病気はほとんど同じです。しかし、かかりやすい病気の種類は大きく異なり、犬にはほとんどないのに猫には多い病気というものもあります。

その一つが「膿瘍(のうよう)」。皮膚の下に膿が溜まる皮下膿瘍は、犬には少ないですが、猫(特に外に行く猫)に多く発生します。今回は、猫の体調不良の原因の一つ、膿瘍についてお話いたします。

急にしこりができて来た!

今回ご紹介するのは、1歳のコロちゃん、当院で数か月前に去勢手術をしたオス猫ちゃんです。

突然の元気消失としこりの発生

コロちゃんは前日までは全く問題なく、元気に生活をしていたとのことですが、突然元気と食欲がなくなり、脇にしこりができたということで来院しました。

身体検査で分かったしこりと発熱

コロちゃんに診察室に入ってもらい、お話を聞いた後に身体検査をしていきます。

まず脇を見てみると確かに右わきの下に弾力性のあるしこり用のものを触ることができました。身体検査の一環としてお熱を計ってみると・・・40℃。猫の平熱は38℃台ですので、1度以上高くなっています。猫の40℃は人の38℃くらいと思ってもらえるとわかりやすいです。

しこりに針を刺して中を確認

身体検査ではその他に大きな異常がなかったため、しこりが発熱の原因になっている可能性が高いと考えました。そこで、そのしこりの中身を確認するためにしこりに針を刺してみました。

猫 膿 針生検 FNA

すると、上の写真のような液体が取れてきました。白く濁ってトロっとした、においの強い液体です。

この液体を顕微鏡で見てみると・・・

膿ですね。皮膚の下に膿が溜まる皮下膿瘍とわかりました。

コロちゃんは外に行く猫ちゃんであり、明かな外傷はありませんでしたが、状況から考えると喧嘩による傷からバイ菌が入り、皮膚の下に膿を溜める皮下膿瘍を形成して発熱し、調子を崩したものと考えられます。皮下膿瘍はばい菌と白血球の塊であり、発熱物質を体の中に放出するため、皮下膿瘍が形成されると突然高熱が出ます。

洗浄と薬による治療

皮下膿瘍の治療は、排膿して洗浄する局所治療と、薬による全身治療があります。

 

排膿→洗浄

皮下膿瘍を最も早く改善させる方法は、皮膚の一部を切開し、溜まっている膿を排泄し、きれいに洗い流すことです。

まずは膿が溜まった皮膚の一部を、針の先を使って切開します。すると、溜まっていた膿が一気に流れ出てきました。大きく切開して膿を出し切るのが理想ですが、炎症による痛みがありあまり切開できなかったため、小さめの切開部位に細いカテーテルを入れて滅菌生理食塩水で洗浄していきました。

点滴と注射

排膿と洗浄によって局所の治療が終わったら、全身への影響を抑えるために点滴と注射を行います。

注射の内容は抗菌薬と消炎鎮痛剤であり、感染や発熱を抑えるために使います。

翌日再診

全身状態はそれほど悪くなかったため、翌日再診としました。

翌日には、38.6℃とお熱も下がり、元気も食欲も出てきているとのことでした。前日に排膿した部分に膿もほとんど溜まっていなかったため、再度注射をして、内服を処方し、調子が良ければ治療終了としました。

まとめ

皮下膿瘍は、急激に強い症状が出ますが、治療がうまくいくとすぐに調子が良くなることも多い病気です。発熱と痛みがとても強いため、皮下膿瘍を起こした猫はつらい思いをしますが、早めに排膿して治療してあげることで愛猫のつらい時間を短くしてあげることができます。

外に行く猫や多頭飼いで喧嘩をする猫などで、急に熱が出たり調子を崩した場合には皮下膿瘍の可能性もあります。何か不調があれば早めにご相談くださいね。

 

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