猫の避妊手術
こんにちは。
猫ちゃんの避妊手術が続きましたので、当院の手術の流れを簡単にお話いたします。
麻酔
若くて健康な猫ちゃんの避妊手術(去勢手術も同じ)では、以下のような手順で麻酔をかけます。
① 抗生剤・鎮痛剤の投与
手術前に抗生剤や鎮痛剤を使うことで、手術中の感染を防いだり、先取り鎮痛(脳が痛みを感じる前に疼痛をブロックすることで良好な疼痛管理を行う方法)が可能になります。
② 注射による麻酔
当院では、メデトミジンとミダゾラムという注射麻酔によって麻酔の導入を行います。この2つの薬剤を使うメリットは
- 適度な鎮痛・鎮静・筋弛緩作用を得ることができる
- 呼吸の抑制が起こりにくい
- コンビネーション麻酔にすることで麻酔深度が深くなりすぎるのを防ぐ
- メデトミジンには拮抗薬がある
という点です。
③ 気管内挿管⇒麻酔の維持
注射による麻酔が効いて来たら、気管に気管チューブを装着して、ガス麻酔と酸素供給を行います。気管内挿管をすることで、確実に安定した量の酸素と麻酔を吸入させることができ、万が一呼吸が止まってしまった場合にも人工呼吸を容易にかけることができます。(人工呼吸器も完備しております)
④ モニターを付ける
当院の生体情報モニターは、心電図、心拍数、血圧、酸素飽和度(SpO2)、二酸化炭素濃度(ETCO2)、体温などを測定することができます。この時点で何か異常が出ていた場合には、それに対する処置を行って手術を継続するか、危険と判断した場合には手術を中断して、麻酔の拮抗薬を使い麻酔から覚醒させます。
⑤ 毛刈り・消毒
⑥ 手術スタート
当院では猫の避妊手術は基本的には「卵巣摘出術」で行っております。
- 皮膚を切開
- 腹膜(腹筋)を切開し、腹腔内にアプローチ
- 子宮つり出し鈎にて、子宮と卵巣を腹腔外に牽引
- 子宮に異常がなければ、卵巣に入る血管を結紮し、卵巣のみを摘出
- 出血がないことを確認
- 腹膜(腹筋)を縫合
- 皮下組織を縫合
- 皮膚を縫合
- 服を着せて手術の終了
⑦ 拮抗薬の投与
メデトミジンの拮抗薬アチパメゾールを投与することで数分以内に麻酔から目覚めてくれることが多いです。
⑧ 入院
当院では術後の管理のために一泊入院していただいております。猫専用の入院室のおかげか、今まで手術をした子たちはリラックスして翌日にはしっかりご飯を食べて帰っていってくれています。