子犬の脱毛は何が原因?―――ニキビダニ症のフレンチブルちゃんの例

犬には脱毛を起こす病気が様々あります。特に免疫が弱い子犬には、寄生虫や真菌、細菌感染などに伴う脱毛が多く発生します。これから暖かくなる春~夏にかけては、動物病院で皮膚病の診察をする機会が非常に増える季節です。

今回は、最近当院を受診したニキビダニ症のフレンチブルちゃんのお話です。

フレンチブルドッグ・5か月・オス

本日ご紹介するのは、5カ月のフレンチブルドッグ、くろちゃん(仮名)です。

頭と足に脱毛が

くろちゃんはとっても人懐こい子犬さんですが、頭と手に脱毛があるという主訴で来院しました。その写真がこちらです。

頭部の脱毛。耳の前に赤みを伴う脱毛があります。

肘の皮膚の脱毛

確かに頭と前足に赤みを伴う脱毛があります。最初頭に出て来た脱毛が、手の方にも広がってきたというお話です。脱毛はありますが、くろちゃんにはそれほど強い痒みはないとのことです。

その他、元気や食欲などの一般状態は良好で、身体検査でも皮膚の脱毛以外には大きな異常はありません。

皮膚の検査をしてみると

皮膚の異常がある場合、まず行う検査が「皮膚掻把検査(ひふそうはけんさ)」です。これは、皮膚の一部を専用のピンセットでこすり取ることで、皮膚の表面にいる寄生虫などを見つけるための検査です。

その検査をし、顕微鏡で見ててみると・・・ニキビダニがいます。

脱毛部位の皮膚を掻把して顕微鏡で見た画像。左上にニキビダニが存在します。画面に広がるもやもやは被毛やフケなどです。

わかりますか?もう少し拡大してみましょう。

ニキビダニの拡大像。口と数本の脚も見えます。

まだ生きが良く動いていたので動画も撮りました。画面右の脚と口が動いているのがわかります。

ニキビダニとは

ニキビダニは目に見えないほど小さなダニであり、健康な犬の皮膚にも存在しますが、免疫が弱い犬で増えて来ると脱毛を引き起こします。脱毛部位にニキビダニが見つかれば、ニキビダニによる脱毛と診断されます。

ニキビダニは毛包虫やアカラスなどと呼ばれることもあります。

ニキビダニの治療法

ニキビダニの治療薬にはいくつかの薬剤がありますが、今回は背中に垂らすスポット剤「アドボケート」を使うことにしました。

アドボケートとは

アドボケートは、背中に垂らすスポットタイプのフィラリア予防薬です。3年前に犬用が販売され始めた比較的新しいお薬になります。

アドボケートは、イミダクロプリドとモキシデクチンという二種類の成分が配合された薬です。フィラリアやノミの予防薬として用いられますが、ここ最近、ニキビダニ(毛包虫)やイヌセンコウヒゼンダニ(犬疥癬)への効能効果も認められたお薬です。

月に1回の投与を2~4回でかなりの確率でニキビダニを殺すことができるというデータもあり、使いやすい薬です。

アドボケート以外のニキビダニ治療薬

アドボケート以外には、以下のような薬もニキビダニに有効であると言われています。アドボケートの効きが悪い場合には、以下のような治療法を試してみる予定です。

  • ブラベクト:3か月に1度飲ませるノミ・マダニ予防薬です。ニキビダニの治療薬としての認可は下りておりませんが、ニキビダニへの治療効果の報告があります。3か月に1度飲めばよいというメリットがある薬です。
  • イベルメクチン・ドラメクチン:注射や飲み薬の抗寄生虫薬です。昔からよく使われてきた薬剤ではありますが、毎日使わなければならないケースもあり、副作用に関しても少し注意が必要になります。
  • サルファサリチル酸シャンプー:毛穴の洗浄力の強いサルファサリチル酸シャンプーは、毛穴の奥に棲むニキビダニを洗い流すのに有効です。ただし、シャンプーだけで完治させることは難しいので、他の治療薬との併用を行うことが一般的です。

皮膚病のご相談はお気軽に

暖かくなると皮膚病のわんちゃん猫ちゃんが増えてきます。皮膚病には、すぐにペットの命にかかわる病気は少ないですが、痒みや痛みなどで愛犬・愛猫のQOL(生活の質)を下げてしまうこともあります。また、人にうつる病気があったり、皮膚のにおいが気になるなど、飼い主さんとペットの関係を悪くしてしまうこともあります。

ささいなことでも構いませんので、皮膚で気になることがあればご相談くださいね。当院では混合ワクチンや狂犬病予防接種、フィラリア検査などの際にも相談していただけますので、何かのついでに効いていただいても構いません。わんちゃん猫ちゃんはしゃべることができませんので、気になることがあれば飼い主さんがわんちゃん猫ちゃんの代わりにお気軽に聞いてくださいね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です