猫のハジラミ症~てんかん発作と思ったら・・・

室内飼いの猫ちゃんが増え、猫のノミやマダニなどの寄生虫を見る機会は減ってきました。それでも年間数例はノミが寄生してしまった猫ちゃんを診察することがあります。そんな猫の皮膚の寄生中の1つ、「ハジラミ」も見る機会が減ってきた病気の一つですが、今回「てんかん発作だと思う」と当院を受診した猫ちゃんにハジラミが見つかったので、ご紹介いたします。

「てんかん発作かもしれない」と来院した猫ちゃん

今回ご紹介するのは、雑種猫のごまちゃん(仮名)です。数日前から足がピクピクするため、「てんかん発作ではないか」と心配された飼い主さんがゴマちゃんを連れてきてくれました。

問診の後に動画を確認

当院での診察は、緊急の患者さんをのぞいて、診察室での問診から始まります。問診で、元気や食欲に変わりがないこと、他に気になることがないことなどの確認を行い、携帯電話で撮っていただいた動画があるとのことで、その動画を見せてもらいました。特に発作や咳などの症状は、余裕があれば動画を撮ってきていただけるととても診察の助けになります。

ごまちゃんの動画には、突然ごまちゃんが足を「ピン、ピン」と伸ばす様子がうつされています。足以外の部分には明らかな異常がない様子で、意識的にやっているのか無意識に動いているのかは動画だけでは判断が付きませんでした。発作は数日前から1日に数回、突然始まるとのことです。全身的な発作や意識の消失などは、動画にもうつっておらず、お家で見る限りもないということでした。

身体検査をしてみると・・・

次に身体検査をしてみると・・・毛に数㎜のフケのようなものがたくさんついています。

ごまちゃんの背中の毛をかき分けたところ。茶色のフケのようなものが多数見えます。

もしやと思い、そのふけのようなものを顕微鏡で見てみると・・・

茶色いふけのようなものを顕微鏡で見たところ

これはハジラミと呼ばれる皮膚の寄生虫です。ふけではなく、ハジラミが大量にごまちゃんの皮膚に寄生していたのです。

ハジラミとは

野良猫に多い外部寄生虫の1種

ハジラミは、猫の体の外側に寄生する「外部寄生虫」の1種です。野良猫ちゃんに多く見られる寄生虫であり、ごまちゃんが外に行ったときに野良猫ちゃんから感染したものと思われます。

犬にはイヌハジラミが、鶏にはニワトリハジラミがというように、さまざまな動物に特有のハジラミが存在することが知られています。

皮膚の痒みの原因に

ハジラミは猫を吸血することはありませんが、皮膚のふけなどを食べるため、皮膚を刺激し痒みを引き起こします。ゴマちゃんが足をピンピンと突然動かしていたのも、てんかん発作ではなく、皮膚の痒みによるものではないかと考えました。

 

ごまちゃんの治療と経過

 

ネコハジラミには、猫のノミ・マダニの予防薬であるフロントラインプラスが有効です。ごまちゃんにもフロントラインプラスを処方して、経過を見てもらうことにしました。

念のため、健康診断を兼ねて肝臓や腎臓、電解質などの異常からくる症状でないことを確かめるため血液検査をしたところ、後日腎臓病があることが分かり、食餌療法を相談しているところです。

フロントラインプラスを使用して数日後には足のピクピクはなくなり、調子が良くなったとのことです。

まとめ

猫ちゃんの病気や症状にはいろいろとあり、紛らわしい症状も少なくありません。今回はてんかんだと思われた足のぴくぴくした動きが、実はハジラミによる痒みだったという猫ちゃんをご紹介しました。

自分で感じる自覚症状を伝えることのできないわんちゃん猫ちゃんでは、飼い主さんの問診が大切になりますが、時にその症状が出ているときの動画が役に立つことがあります。特に、1日のうちで限られた時間しか出ないような痙攣発作や運動異常、咳などは動画に撮ってもらうと大変参考になります。

ささいな症状でもわんちゃん猫ちゃんにとってはとても大きなストレスになったり、苦痛を伴っているケースもあります。もちろんペットに関する心配事は、飼い主さんにとっても大きなストレスになります。気になる症状がある場合には、ささいなことでも相談してくださいね。その際、余裕があれば動画を撮ってご来院いただけると助かることもありますので、覚えておいてください。

また、外に行く猫ちゃんには、ノミやダニだけでなく、ハジラミやお腹の中の寄生虫、さらにはエイズや白血病などのウイルスなど、数多くの感染症が発生します。そういった病気にかからないよう、しっかり予防をしておいてもらうのも大切ですよ!

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