フィラリア感染症が出ています!予防薬はお忘れなく

わんちゃんを飼うと毎年必要なのがフィラリア予防ですが、「毎年予防しているけど本当に必要なの?」と感じる飼い主さんがいるのも当然だと思います。

実際問題、動物病院でフィラリア感染症を診断する割合は年々減ってきており、昨年当院で行った検査では、ほとんどの方が予防していたということもあり、1件もフィラリア感染症は見つかりませんでした。

しかし、先日、当院で初めてフィラリア感染症に陽性反応が出てしまったわんちゃんがいました。昨年予防が抜けてしまった柴犬ちゃんでした。

フィラリア感染症のおさらい

フィラリアは犬と蚊の体の中を行き来しながら生活する虫です。

明治ファーマのHPより

フィラリアの子虫を持った蚊が犬をさすことで犬に感染し、犬の体内で成長したフィラリアが産卵し、吸血した蚊に感染するという感染経路を持っています。

フィラリアの予防とは

フィラリアの予防薬は、実はフィラリアの子虫が体内に入ってくるのを予防する薬ではありません。

フィラリアの子虫が犬に感染してから成長し、フィラリア予防薬が効かなくなるまでの日数が大体45日と言われており、その間に子虫を殺す薬です。つまり、フィラリアの予防薬は、予防薬という名前ではありますが、厳密にはフィラリアの子虫を殺すための駆虫薬となります。

フィラリアは45日を過ぎて成長すると、薬で殺すことができなくなります。そのため、1か月に1回の投薬で予防することが大切になってきます。

フィラリアの検査とは

フィラリアの検査には大きく分けて、

  • フィラリア成虫抗原検査
  • ミクロフィラリア検査

の2種類があります。

フィラリア成虫抗原検査

フィラリア成虫抗原検査は、フィラリアの親虫の成分(抗原)が血液中にあるかどうかをチェックする検査です。犬の血液を、専用の検査キットに垂らすことで、フィラリアの成虫がいるかどうかを調べます。

当院で検査した柴犬ちゃんのフィラリア抗原検査の結果。2本線が出ているとフィラリア抗原陽性=フィラリア感染しているという意味です。

メリット
  • 精度が非常に高い(フィラリアの成虫が感染していればほぼ100%検出できる)
デメリット
  • 検査キットを使うため、費用が若干高くなる
  • フィラリアの子虫が体内に入って、検査キットに反応する成虫になるまで半年かかるため、検査の半年以内の感染は陰性に出てしまう

ミクロフィラリア検査

ミクロフィラリア検査は、犬の血液1滴を顕微鏡で観察し、ミクロフィラリア(フィラリアの子虫)を見つける検査です。

上の動画は当院の顕微鏡モニターの画像です。薄いオレンジ色のつぶつぶは赤血球で、その中をくねくね動くミクロフィラリア(フィラリアの子虫)がよくわかります。

メリット
  • 費用が安い(検査キットが必要なく、スライドグラスとカバーグラスがあればできる)
デメリット
  • 検出感度が低い(フィラリアの成虫が感染していても、子虫が見つからない「オカルト感染」と呼ばれる現象があり、その場合にはミクロフィラリア検査は陰性となる)

フィラリアにかかってしまったらどうする?

犬の体内で成長したフィラリアは、かなり大きくなってしまうため、薬で殺すことができません(フィラリアの成虫を殺す薬もありますが、死んだフィラリアが血管に詰まってしまうリスクがありますので、現在使うことはありません)。そこで考えることは、新たなフィラリアが感染することを防ぐことと、フィラリアの寿命を短くすることです。

新たなフィラリア感染を防ぐ

フィラリアは感染数が増えれば増えるほど、心臓への負担が強くなったり、危険な急性フィラリア症のリスクが高くなります。また、フィラリアは4-5年で寿命を迎えると言われていますが、新たなフィラリアが感染してしまえば、いつまでたってもフィラリアが犬の体内からいなくなりません。

そのため、すでにフィラリア感染症にかかってしまっていても、予防をしていくことが大切です。

ただし、フィラリアにかかっているわんちゃんに通常のフィラリア予防薬を飲ませると、ミクロフィラリアが大量に死んでしまってショック症状を起こすことがあります。フィラリア陽性犬には、ショックを予防するお薬とともに、ショックを起こしにくいフィラリア予防薬を投与することで、安全にフィラリア予防を行うことができます。

フィラリア陽性犬には、そういった安全策を取りながら予防薬を飲ませなければならないため、フィラリア検査をしないでフィラリア予防薬を飲ませるというのは危険なことでもあるんです。

フィラリアの寿命を短くする=ボルバキア治療

フィラリア感染症による犬への影響には、フィラリアの数と存在する時間が影響します。フィラリアの寿命を短くすることができれば、フィラリアによる心臓のダメージを減らすことが可能になります。

そこで最近、注目されているのがボルバキア治療です。

ボルバキアは、フィラリアに感染する細菌であり、ボルバキアが感染したフィラリアは寿命が長くなることが知られています。ボルバキアを殺す薬を投与して、ボルバキアを駆除することでフィラリアの寿命を短くするのがボルバキア治療です。

ボルバキア治療に関しては以下のページを参考にしてください。愛犬がフィラリアにかかってしまった方もお気軽にご相談ください。

犬のフィラリア症⑥ フィラリア症の治療

まとめ

フィラリア予防薬が普及し、フィラリアにかかってしまうわんちゃんを見る機会は極端に減りました。しかし、まだまだフィラリアは根絶されたわけではなく、感染したわんちゃんに遭遇することもあります。また、この地域でフィラリア感染犬がいるということは、その血を吸ってフィラリアを持つかが必ず存在するということです。

フィラリアは予防薬で100%防げる病気です。最近では、おやつタイプなど飲みやすい予防薬だけでなく、1回注射すれば1年間効果のある予防薬も出てきています。今までフィラリア予防をしたことがないわんちゃんも、一度ご相談くださいね!

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