止まらない愛犬のくしゃみ・・・まさかの原因は?

先日、夜間に「愛犬のくしゃみが止まらない。鼻血も出て来た」と電話がかかってきました。

犬の鼻血は危険な病気が原因となっていることも多く、夜の診察時間外ではありましたが、来ていただくことにしました。

くしゃみが止まらないチワワちゃんが来院

来院したのは4歳のチワワちゃん(ぽんちゃん:仮名)。その日の夜から急にくしゃみが止まらなくなり、鼻血も出てきたため、遠方にもかかわらず飼い主さんが慌てて連れてきてくれました。

くしゃみと鼻血が止まらない

病院へ到着しても、ぽんちゃんのくしゃみが止まらず、飼い主さんの腕の中でくしゃみを連発しています。さっそく診察台の上に載ってもらうと、くしゃみで飛んだ鼻水に混じって、薄い血も一緒に出ていることが分かりました。

くしゃみは鼻粘膜の刺激によって起こる体の防御反応です。風邪をひいたときにくしゃみをするのも、鼻粘膜に付いた異物やウイルスなどを排泄するための反応だと考えられています。

呼吸状態や粘膜の色は問題なし

わんちゃん猫ちゃんの診察の際に、まず確認するのが緊急性の有無です。特に呼吸器系の異常は短時間で死に直結することのある危険な症状です。

呼吸器の異常の時に確認するのが呼吸状態と粘膜(舌や歯茎)の色です。ぽんちゃんは、苦しそうに呼吸はしているものの、下や歯茎の粘膜はピンク色をしており、酸欠は起こしていないようです。(舌の粘膜が紫色になることをチアノーゼと呼び、チアノーゼがある場合には、体の中が酸欠状態であるというサインになります)

とりあえず、落ち着いてお話を聞いてみました。

前日の散歩後から調子がおかしい

ぽんちゃんは前日の散歩後から何かのどや鼻に違和感があるようだったそうです。ただ、特に食欲もあり、元気も変わらなかったため、お家で様子を見ていたようです。

そして、その翌日突然くしゃみが止まらなくなり、鼻血が出てきたため、当院を来院されました。

異物を疑っていると・・・

問診の後に身体検査をしましたが、触診や聴診などでは異常は認められませんでした。

鼻腔内の異物を疑うも・・・

くしゃみの原因には、鼻炎(細菌性・アレルギー性)、鼻の奥の腫瘍、鼻の奥の異物などが原因としてあげられますが、まだ4歳という年齢と、突然の激しいくしゃみからは、異物を強く疑いました。実際、かなり小さい緑色の破片(おそらく何かの草の一部)がくしゃみに混ざって出て来ることもありました。

ただし、外から見える範囲には異物はなく、それ以上奥の鼻腔内の異物の確認には、細い内視鏡(鼻腔鏡)やCTなど当院にはない設備での検査が必要になります。とりあえず、鼻の刺激を少しでも抑えてくしゃみを少しでもましにしてあげる薬を使うという治療方針をお話ししました。

大きなくしゃみの後に!

鼻の違和感を抑えるための消炎剤の注射を準備しようとしていたところ、ぽんちゃんが大きなくしゃみをしました。そして、鼻から出て来たものは・・・

鼻から出てきたのはなんと雑草!

長さは実に7㎝以上ありました!

くしゃみの原因はこの雑草だったんです。長さ7㎝以上の長い雑草が、鼻の中に入ってしまい、それが刺激となり、くしゃみを引き起こしていたようです。激しいくしゃみによって鼻粘膜のダメージが起こり、鼻血も出てきていたようです。

草が鼻の奥に入ってしまった理由は?

では、なぜぽんちゃんの鼻の奥に、草が入ってしまったのでしょうか?

前日夜の散歩が原因?

ぽんちゃんは、くしゃみが止まらなくなる前日の夜、散歩で草を食べていたそうです。

そして、その後少し口をくちゃくちゃする様子が続いたということでしたので、おそらく、その時の草が原因だと考えられます。

飲み込んだ草が食道ではなく、鼻咽頭(咽頭鼻部)に入り込んだ?

左(上)の画像は、犬の顔の内部の模式図です。通常食べたものは、咽頭(口部)から咽頭(喉頭部)を通って食道に入り込みます。

しかし、ぽんちゃんが飲み込んだ草の一部は、おそらく咽頭のどこかにへばりついたのち、食道の方ではなく鼻咽頭(咽頭鼻部)の方に移動してしまったものと考えられます。

鼻咽頭に入り込んだ草は、じわじわと緑の矢印のように鼻腔内に移動して、鼻腔の刺激に敏感な部分に入り込んでくしゃみを発生させたものと考えられます。

鼻腔の細い部分に入り込んで引っかかってしまえば、鼻腔鏡などの特殊設備がないと摘出は困難となりますので、くしゃみで鼻から出てきたのは非常にラッキーだと言ってもいいでしょう。

同じようなケースはどのわんちゃん・猫ちゃんにも起こり得る

ここまで長い草が鼻の奥に入り込んでしまうケースはまれではありますが、同じように食べたものが鼻腔に入り込んでしまうという可能性は℃のわんちゃん猫ちゃんにも起こり得ますので、注意が必要です。

特に散歩中に草を食べるわんちゃんや、猫草を与えている猫ちゃんでは、同じように草が鼻腔に入り込んで激しいくしゃみが止まらなくなる可能性は十分あります。道端の草には、農薬や寄生虫などが付いていることもありますので、草を食べるわんちゃん猫ちゃんは異物だけでなく、中毒や感染症などにも注意しておいてくださいね。

体調不良は思わぬところに潜んでいる

今回ご紹介したぽんちゃんは、草がくしゃみで出た後にはすっかりくしゃみが止まり、本人も非常に楽になってくれました。念のため、消炎剤と抗生剤で鼻粘膜の炎症や感染を抑える治療をして帰ってもらいました。

今回は、草が口から喉の奥を通って鼻に入ってしまったという比較的まれなケースをご紹介させていただきました。わんちゃん猫ちゃんの体調不良は思わぬところに潜んでいます。日頃からわんちゃん猫ちゃんの行動をしっかり見ておいてあげることも、病気の原因究明や早期発見早期治療に重要ですので、愛犬・愛猫の様子や行動に注目しておいてくださいね!

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