パルボウイルスが流行しているようです

ここ最近、パルボウイルスの感染報告が相次いでいます。2019年7月現在、岐阜市での発生の情報は得られていませんが、各務原市や羽島市、一宮市では野良猫や保護猫のパルボウイルスが流行しているようです。また、豊田市では、野良猫が大量死をし、動物愛護センターにもパルボウイルスが入り込んでしまったようです。

簡単に猫のパルボウイルスや注意点についてまとめておきます。感染すると非常に死亡率が高いので、ワクチンでしっかり予防しておくことが大切です。

パルボウイルスの概要

感染経路

猫のパルボウイルスは、感染猫の糞便や嘔吐物に多数含まれています。糞便や嘔吐物が猫の口から入り込むことで(グルーミングや摂食行動により)、感染が成立します。

感染猫の多くが下痢や血便、嘔吐をしますので、お家の猫がそういった症状を出した場合には早めに動物病院へ連れてきてください。特に多頭飼いのお家でワクチンを打っていない場合には、しっかり消毒し、症状のある猫を隔離して、できるだけ早く動物病院を受診するようにしてください。

犬にもパルボウイルスはありますが、種類が違うため、猫のパルボウイルスは犬には感染しません。また人にも感染しませんので、その点は安心していただいていいでしょう。

パルボウイルスの症状

パルボウイルスは、感染してから1~2週間程度の潜伏期間(感染していても症状を出さない期間)があると言われています。

初期症状は元気や食欲の低下などの非特異的な症状のみが出ることもありますが、進行するにつれ以下のような症状が出ます。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 血便
  • 発熱
  • 食欲廃絶

症状は急速に進行し、積極的な治療をしたとしても子猫の死亡率は非常に高いです。ワクチン未接種の子猫が突然吐いたり下痢したりした場合には、できるだけ早く動物病院で診てもらうことが必要です。

パルボウイルスの検査

パルボウイルスは、パルボウイルスを検出する検査キットがあれば、便を使ってすぐに検査を行うことができます。現在のところ、猫のパルボウイルス検査キットは販売されていませんが、犬のパルボウイルス検査キットで診断可能なため、そちらで検査を行います。

検査キットでの検査では便がある程度の量必要であり、あまり便を取れない場合には血球計算(CBC)を行い、パルボウイルス感染症の特徴である白血球減少症がないかどうかをチェックします。子猫で白血球が下がる病気が多くはないため、特徴的な症状と白血球減少症でパルボウイルスの暫定診断をすることもあります。

パルボウイルスの治療

パルボウイルスの治療は、対症療法がメインとなります。点滴や栄養剤、制吐剤などを使って脱水の予防や栄養状態の悪化を防ぐとともに、抗生物質による二次感染防止を行うことが治療のメインとなります。抗ウイルス作用のあるインターフェロンもある程度の効果は期待できるため、使用するケースは多いです。

ただし、パルボウイルスは非常に感染力が強いため院内感染のリスクが非常に高く、隔離部屋と入院管理を行う人手がないと、外来と同時並行で行い入院での治療が困難になることもあります。

パルボウイルスに関して気を付けて欲しいこと

愛猫のリスク把握

まず、パルボウイルスに関しては、愛猫がどれくらい感染のリスクが高いかどうかを頭に入れておくことが大切です。

感染リスク最大:1~3か月齢のワクチン未接種猫

パルボウイルス感染症のリスクが最も高いのが、1~3カ月齢のワクチン未接種猫です。

感染症に対する抵抗力の一つに「抗体」と呼ばれるものがありますが抗体は母親から引き継ぐことができます。その抗体の効果が切れて来るのが大体1~2か月くらいと言われており、1カ月齢までは親の抗体が子猫を守ってくれます。その後抗体が切れるタイミングで感染症のリスクが一気に増大します。

お家で1~3カ月齢のワクチン未接種猫を飼っている場合には、感染しないよう外に出さないだけでなく野良猫などを触らないようにし、2か月齢前後で早めにワクチンを打つようにしましょう。

感染リスク大:ワクチン未接種(もしくは数年間抜けている)の1歳未満もしくは高齢猫

3カ月以下の幼齢猫に比べると免疫力がある程度付いているため、感染リスクはやや低くなりますが、ワクチン未接種の子猫や高齢猫ではまだ免疫が弱く、感染リスクは高くなります。また、ワクチンが数年抜けてしまっている高齢猫も感染リスクは高くなります。

幼齢猫と比べると、症状が軽く、回復できる猫も多いですが、それでも死亡率は高く危険な病気には変わりません。

感染リスク中:ワクチン未接種(もしくは数年間抜けている)成猫

ワクチンを打っていなかったり、数年間抜けている成猫では、パルボウイルスに対する免疫力はほとんどないものの、一般的な免疫力や体力が強いため、感染リスクはやや下がります。また、感染しても一過性の下痢や嘔吐、食欲不振でそのまま回復できる猫も多くなります。

ただし、感染する猫は多く、中には死亡する猫もいますので、ワクチン未接種や効果が切れている猫では早めにワクチンを打つようにしてください。

感染リスク低:ワクチンをしっかり打っている猫・抗体価検査でワクチンの有効性を確認している猫

猫のワクチンには3種・4種・5種・7種などのワクチンがありますが、パルボウイルスはすべての混合ワクチンに入っています。そのため、毎年しっかりワクチンを打っている猫では感染の可能性は低くなります。

最近ではワクチン抗体価検査という、ワクチンの有効性を確認する検査もあります。毎年打っていなくても抗体価検査でパルボウイルス抗体がしっかりあることが確認できれば、パルボウイルスに感染する可能性は非常に低くなります。まれにワクチンを毎年打っていても十分な効果が得られない「ローレスポンダー」と呼ばれる猫もいます。抗体価検査は採血をすることで簡単に調べることができますので、心配な方はご相談くださいね。

感染のリスクがある場所

次に感染の可能性がある場所も理解しておく必要があります。

感染リスク最大:外

外には野良猫ちゃんや地域猫ちゃんがいます。ウイルス感染している猫がいる可能性も高く、それらの猫の排せつ物がたくさん落ちています。猫は他の猫のにおいを嗅ぐ習性がありますので、その際に排泄物が鼻について飲み込んでしまうことが多いです。

感染リスク中:動物病院・ペットホテルなどの外出先

動物病院には病気の動物がたくさん来院します。パルボウイルスは動物病院スタッフが最も警戒する伝染病であり、パルボウイルスの猫が来院した場合には、ウイルスがいる可能性のある場所は徹底的に消毒します。それでも、診断前に他の猫ちゃんと接触してしまったりする可能性があります。またホテルなどで出てしまった場合には、専門的な知識がないと知らないままウイルスが残ってしまうことがあります。

感染リスク小:家庭の中

家庭の中でもパルボウイルスへの感染リスクはあります。

  • 新しい猫を迎え入れる
  • 野良猫を触った手や服にウイルスが付いてくる
  • 靴の裏にパルボウイルスがくっついて入る
  • ベランダ越しに野良猫やその排泄物と接触する など

ワクチン接種でしっかり予防

猫のパルボウイルスはワクチン接種でほぼ100%防ぐことができます。まれにワクチンの効きが悪い「ローレスポンダー」はいますが、私の経験ではワクチン接種を毎年していた猫ちゃんでのパルボウイルス感染症の発症はありません。

毎年ワクチンを打つのに抵抗がある飼い主さんには、ワクチン抗体価検査をおすすめいたします。

野良猫を触ったら必ず手指の消毒を

パルボウイルスは非常に伝染力と消毒への抵抗性が強いウイルスであるため、野良猫を触った場合には必ずしっかり手指の消毒をしておくことが必要です。もし抱き上げたりした場合には、服など猫と触れた部位は必ず消毒しておいてください。また、靴についてくることもありますので、靴の裏などの消毒もしておいた方が安心です。

パルボウイルスは塩素系以外の消毒が非常に効きにくいウイルスです。猫を飼っている方は、塩素系の消毒薬でしっかり消毒しておきましょう。安全に使える消毒薬が必要な方は、当院で使っている消毒薬(バイオウィル)をお分けすることもできますので、お問い合わせください。

愛猫のためにもしっかり予防を

わんちゃん猫ちゃんには、伝染病が多いですが、パルボウイルスを含めた大半の伝染病はワクチンや予防薬で予防することができます。

室内飼いの子でも飼い主さんを通して、あるいは動物病院やペットホテルで病気をもらってしまうこともあります。パルボウイルスは感染してしまうと非常に致死率の高い病気です。元気なうちに予防できる病気はしっかり予防しておいてあげてくださいね。

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