新型コロナウイルスは犬や猫にかかるのか?

最近、診察をしていてよく聞かれる質問がありますーー「犬や猫は新型コロナウイルスは大丈夫ですか?」

やはり、ワンチャンや猫ちゃんを飼っている飼い主さんにとって、新型コロナウイルスの自分や家族の感染だけでなく、おうちのわんちゃん猫ちゃんの感染も心配なところだと思います。

結論から言うと、「現時点でのリスクは高くないけれど、注意はしておいた方がいい」と言わざるを得ません。今回は、現時点で出てきている報告をいくつかご紹介し、新型コロナウイルスのペットへのリスクについて皆さんに理解しておいてもらおうと思います。

厚生労働省の見解

まずは、厚生労働省が発表した、犬や猫などの動物を飼育している飼い主さん向けのQ&Aを抜粋してご紹介します。

詳しくは、厚生労働省のHPもご覧下さい。(動物を飼育する方向けQ&A 厚生労働省HP

Q1 飼育するペットに新型コロナウイルスは感染する?

A1 犬や猫が新型コロナウイルスに感染したとと考えられる例が海外で数例報告されていますが、その数は限られています。

 

Q2 感染したペットに症状はある?

A2 犬で症状は確認されていないけれど、猫では消化器症状や呼吸器症状が確認されたという報告がある

 

Q3 ペットから人に感染した事例はある?

A3 これまでのところ、ペットから人に感染した事例は報告されていませんが、普段から動物を触った後は手洗いや種子の消毒をするようにしましょう。

 

アメリカ獣医師会(American Veterinary Medical Association:AVMA)の見解

次に、アメリカ獣医師会(AVMA)が発表したペットと新型コロナウイルス感染症に関する見解を箇条書きにて簡単にご紹介いたします。

英語になりますが、現文を読みたい方は以下のリンクを参考にしてみてください。(SARS-CoV-2 in animals AVMA

  • ペットの新型コロナウイルス感染に関する報告は現時点(4月19日現在)で4例
    香港の犬2頭と猫1頭(無症状)
    ベルギーの猫1頭
    いずれも新型コロナウイルス陽性の飼い主さんとの濃厚接触があった動物
    ベルギーの猫では症状があったと報告されているが、他の病気の可能性や検査方法などに不明点がある
    ベルギーの猫はその後回復した
  • もし自分がコロナウイルスに感染してしまった場合には
    お世話を任せられる人にお願いすることが望ましい
    自分でお世話をする場合には、過度な触れ合い(抱きしめたりキスしたり食器を一緒に使うなど)を避け、お世話の前後に手洗いを必ずすること
  • ペットの安全を確保するには準備が大切
    2週間分のフードと薬を常に準備しておく
    避難もしくは自宅隔離にいつなってもよいように、ペットと自分の生活に必要なものをそろえておく
  • ペットから人に新型コロナウイルスが感染すると考える理由はない
    現時点でペットから人に新型コロナウイルスが感染すると考える理由はない
    そのため、新型コロナウイルスを恐れてペットを隔離する必要もない

その他の新型コロナウイルスとペットに関する調査及び研究

まだまだ詳細が不明な新型コロナウイルスですが、ペットに関する報告をいくつか見つけましたので、簡単にご紹介させていただきます。

犬は新型コロナウイルスにかかりにくいが、猫とフェレットはかかりやすい?

まず1つ目の研究は、雑誌「サイエンス」に掲載された中国の研究です。

Susceptibility of ferrets, cats, dogs, and other domesticated animals to SARS–coronavirus 2

この研究では、犬や猫、フェレットさらには豚や鶏などに実験的にコロナウイルスを感染させ、そのウイルスの増幅やさらに感染を伝搬するかどうかを見た実験を行っています。この研究で分かったことは

  • フェレットと猫は呼吸器から感染させた新型コロナウイルスが体内で増幅され、糞便にも排泄される
  • その感染した猫から他の猫への感染も確認された
  • 犬の体内では新型コロナウイルスが増幅しにくい(感染しにくい)
  • 豚や鶏にはコロナウイルスは感染しない

新型コロナウイルスに感染した人の家のペットは新型コロナウイルスに感染してない?

もう1つのご紹介するのは、フランスの獣医学生のペットに関する研究です。

Absence of SARS-CoV-2 infection in cats and dogs in close contact with a cluster of COVID-19 patients in a veterinary campus

対象は18人の学生の計21頭のペット(猫9頭、犬12頭)で、18人中11人がコロナウイルスと思われる症状を出しており、そのうち2人がPCR検査で陽性(残りの9人は検査対象となりませんでした)でした。学生たちの大半は、部屋を一緒にしていたり、一緒に寝たり、顔や手などを舐められたりしていました。

そのペットたちの検査結果は以下の通りです。

  • 鼻や直腸などから採材したサンプルの中にはコロナウイルスは検出されなかった(PCR検査でコロナ陰性)
  • 血液中の抗コロナウイルス抗体も検出できず(過去の感染も否定的)

この研究では、かなり頻繁な濃厚接触があっても、犬や猫への感染は確認できていないため、ペットの犬や猫への感染の確率は極めて低いと結論付けています。

ペットにうつる可能性は低いが注意と準備はしっかりと

4月22日までにわかっていることをいくつか報告させていただきました。

これらを踏まえて私の考えとしては「現時点で新型コロナウイルスがペットにうつる可能性は低いし、ペットから人へうつったという報告はないが、感染リスクがゼロではないということを頭に入れて、注意をしつつ、自分が感染してしまったときの準備をしておきましょう」ということです。

まずは人→人感染を減らすために外出自粛を徹底することと、手洗いうがいなどの衛生管理をしていくことが、ペットを守ることにもつながります。

当院でも、必要な治療や予防を行えるよう細心の注意を払いながら診察を続けております。当院が行っているコロナウイルス対策にもぜひご協力お願いいたします。

また新しいペットのコロナウイルス感染に関する報告がありましたら随時更新いたしますので、よろしくお願いいたします。

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