キャットフレンドリーを考える
アイビーペットクリニックは2018年3月現在、キャットフレンドリークリニック(CFC)に応募しております。そこで、キャットフレンドリーに関していくつかお話をさせていただきたいと思います。
キャットフレンドリークリニックとは
キャットフレンドリークリニックとは、猫のストレスを最小限にした診察を行うことができると認定された動物病院です。
認定機関は猫世界医学界(ISFM: Internal Society of Feline Medicine)。この認定機関が設定した基準を満たした動物病院が、キャットフレンドリークリニックとして認定されます。
現在日本には小動物のための動物病院が11,000以上あり、そのうち113病院が認定されています。認定病院は約1%ですね。
認定病院の一覧はこちら
なぜキャットフレンドリーに注目が集まる?
動物病院を受診する動物の数は犬が最も多く、猫はまだ犬よりも少ないです。それにもかかわらず、ドッグフレンドリークリニックの認定はなく、キャットフレンドリークリニックノミが存在します。
猫は動物病院の受診ストレスが高い
猫は犬と比べて警戒心が強く、環境の変化にストレスを感じやすい動物です。猫が怖がるから動物病院へ行きたくないという飼い主さんも多く、そのお気持ちは理解できます。
また、犬と猫では性格や性質が異なり、その扱い方も異なります。そのため、猫の受診ストレスを減らすための方法として、キャットフレンドリーの考えが広まりました。
受診ストレスによる悪影響
猫が動物病院を受診してストレスを感じてしまうと、以下のような悪影響が出ます。
検査値の異常
ストレスは、以下のような検査値に影響します。そのため、異常値が出た場合にストレスの影響なのか、本当に異常なのかの判断が難しくなります。
- 血糖値の上昇
- 心拍数・呼吸数の上昇
- 血圧の上昇
- 血尿
検査が困難
猫は一度パニックのスイッチが入ってしまうと、何もさせてくれなくなることがあります。そうなってしまうと、簡単な検査や処置すらできなくなり、場合によっては鎮静が必要になったり、検査を断念せざるを得ないこともあります。
スイッチが入らなければ数秒から数分で終わるような検査や処置も、その前にストレスをかけてしまうことで、猫に大きな負担となってしまうことがあります。
病気の悪化
ストレスによる体の変化は、猫の病気を悪化させてしまうことがあります。特に呼吸器・循環器の病気(肺水腫・胸水・肥大型心筋症・高血圧など)がある猫にストレスがかかると、時にそのまま亡くなってしまうこともあり、非常に危険です。
それ以外にも糖尿病が悪化してしまったり、腰を痛めたりしてしまうこともあります。
動物病院を受診したのに、かえって病気が悪化ということになりかねないため、猫にストレスをかけないということはとても大切です。
最小限のストレスで猫の診察ができる環境を
当院は、猫のストレスが少しでも少なくなるように、以下のような設計をしております。
- 犬と猫の完全別室(待合・診察・入院室)
- 猫の診察室は狭めの個室
- 猫の生活リズムを崩さないために、採光できる入院室に窓を設置
- 猫の入院室の明かりは調光システム(急に電気がついてねこがびっくりしないよう)
その他、猫の行動学を日々勉強し、診察に生かしております。
猫の行動学を勉強することで、家の環境や接し方をキャットフレンドリーに改選することができます。次回からしばらくの間、猫にとって理想の環境や接し方などをお話していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。