FIPの治療(レムデシビル注射および経口GS441524)を始めました

先日、猫のFIP治療薬(レムデシビル注射薬および経口GS441524製剤)を導入しました。

猫伝染性腹膜炎(FIP)は数年前までは不治の病と言われていた、猫の感染症であり、発症するとほぼ100%の猫が数か月以内に亡くなってしまう怖い病気でした。抗炎症薬などを使って数週間~数か月いい状態を継続するのがやっとであり、猫の飼い主様及び我々にとって非常に怖い病気でした。

しかし、2018年に抗ウイルス薬によるFIP治療の報告が初めて出て以来、薬によるFIP治療のデータが多く出てくるようになりました。ただし、日本で手に入れることのできる抗ウイルス薬は、特許侵害を行っている可能性が高く成分も不明な中国製のMUTIANのみ(薬ではなくサプリメント扱い)で安全面・倫理面で使用が制限されておりました。

まだ日本国内で流通している薬はありませんが、やっと最近になって、海外で製造されたFIPに対する抗ウイルス薬(レムデシビル注射薬および経口GS441524製剤)を輸入することが可能となり、いくつかの論文を読んだうえ、当院でもそれらの薬を用いた治療を開始いたしました。

※ここ最近治療データが出てきているモルヌピラビルはレムデシビルやGS441524と比べるとかなり安価で治療は可能ですが、副作用や効果、薬剤耐性の面で不安があり、当院では使用しておりません(2022年11月14日時点)。

くわしくはこちらのページを参考にしてください。

1月14日時点で5頭の猫ちゃんの治療実績があり、5頭ともは完全緩解にていったん治療終了しております。治療終了後の経過観察でも再発は認められず、非常に調子よく過ごしてくれています。現在のところ治療薬に余裕が出てきていますので、もしFIPで困られている飼い主様がおられれば一度ご相談ください。

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