動物のお勉強
犬と猫の飼主さんはもちろん、犬や猫を飼う前の人もぜひ読んでみてくださいね。
犬と猫の飼主さんはもちろん、犬や猫を飼う前の人もぜひ読んでみてくださいね。
犬を迎えるための準備
子犬のお迎え当日
子犬を迎える当日はワクワクしますが、不安もあるでしょう。子犬を迎える当日はどのように過ごしたらいいのかを理解して、スムーズに迎えられるようにしましょう。子犬を迎える当日、楽しみ80%、不安20%という飼い主さんも多いと思います。しかし不安があるのは飼い主さんだけではありません。子犬ちゃんはどこに行くのかわからない状態で新しいお家に来ます。そのため、お家にきてしばらくの間は体調や食欲が不安定になることも多く、時に入院が必要なほど体調を崩してしまうこともあります。そうならないためにも、子犬にストレスをできるだけ感じさせないように迎える方法を知っておいてください。
環境変化を最小限にする工夫を
子犬を迎える際の基本的な考え方は、環境の変化を最小限にすることです。そのために出来ることは以下の通りです。
ニオイのついたものをもらってくる
犬は五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)のうち、嗅覚による情報を非常に重視する動物です。そのため、ニオイによって環境を把握することが多くなります。環境の変化とともに周りの匂いが急に変わってしまうと、犬のストレスは非常に強くなります。使っていたタオルなど、ニオイのついているものをもらってくるといいでしょう。もし、飼うことを決めてから時間がある場合は、事前に自分で用意したタオルなどを使っておいてもらうと、ニオイのついたタオルをそのまま持って帰ってこれるのでおすすめですよ。
フードやおやつも同じものを
子犬を迎える場合、子犬用のドッグフードやおやつを与えるのはもちろんですが、できる限り今まで食べていたものと同じものを与えるようにしてください。
犬は基本的に同じものを食べ続けているため、急にフードの種類を変えるとお腹を壊してしまうことがあります。違うものは食べないという子もいますし、フードをころころ変えるのも将来のことを考えると良くないです。
生活環境だけでなく、フードも変えないようにしておきましょう。
しつけなどは無理しない
できるだけ子犬のうちにしつけをしておくことは大切ですが、それよりも家に慣れることが大切です。
特に家に来た初日に色々覚えさせるのは、子犬の能力を越えてしまいますし、ストレスになりかねません。初日はとにかくお家に慣れてもらうことを優先してください。
調子が良さそうであれば2日目から無理ない程度に少しずつトイレのしつけなどを行っていきましょう。お家に来てから1週間くらいは、しつけよりも家に慣れることが大切です。
休む時間をしっかりとる
多くの子犬ちゃんは、お家にきてちょっとすると、すぐに元気に走り回ることも多いです。
ただし、それでも環境変化に適応するために子犬なりに気を使っています。実際に、お家に来たときは元気だったのに、次の日には元気も食欲も落ちてしまうということも多いです。
もちろん楽しく遊んでもらうことは大切ですが、子犬が休める時間を作ってあげることが、お家に着た後に体調を崩すのを予防するためには大切です。30分~1時間くらい遊んだらしばらくハウスで休めるようにしてあげましょう。少なくとも、2か月齢位の子犬であれば、遊ぶ時間より寝る時間を長く取れるようにしましょう。
子犬を迎えて1週間の間の過ごし方
子犬を迎えて1週間は最も体調の変化の激しい時期です。動物病院で働いていると、飼い始めて数日で体調を崩して受診する子犬ちゃんは多いです。
そんな体調変化の激しい1週間の間、体調を崩さないためにどのようなことを気を付けたらいいのか、一緒に考えてみましょう。
猫を迎えるための準備
猫ちゃんがまだ小さい場合は、縁の低い容器を使いましょう。
中に入るのを嫌がらないように、猫ちゃんのニオイのついたタオルなどを入れて、安心できる場所として印象付けましょう。
ハードケースの場合は、診察がスムーズできるように上空きタイプがおすすめです。
設置場所は日当たりのいい暖かい所や、高い所がおすすめです。
種類は木材、段ボール、麻、カーペットタイプがあります。愛猫ちゃんの好みに合わせて準備しましょう。
獣毛ブラシで全身をブラッシングし、コームで顔など繊細なところや毛玉ほぐしなどの仕上げを行いましょう。
磨く際は猫用の歯ブラシの他、幼児用歯ブラシや綿棒、濡れたガーゼなどで代用できます。
猫ちゃんだけで遊ばせるときは、飲み込む可能性のあるおもちゃは使わないようにしましょう。
犬や猫に行うべき予防
ワクチン
混合ワクチン年1回相談
犬も猫も伝染病の予防のためにワクチンが必要になります。基本的に1年に1回必要ですが、室内猫ではワクチンのメリットとデメリットを考えて感覚を相談させていただいております。ワクチンにはいくつかの種類があり、必要な種類を相談して接種します。
ワクチンで予防できる主な感染症
狂犬病ワクチン 年1回
生後91日以上の犬には年に1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。集合注射で接種してもらうこともできますが、動物病院で打つこともできます。
動物病院では1年中いつでも接種することができ、しっかり体調を見ながら注射を打てますので、体調に不安があったり持病のあるわんちゃんは動物病院で接種してもらうことをおすすめします。混合ワクチンとの同時接種は副作用の可能性が高くなることからおすすめしていません。
フィラリア予防
蚊に刺されることで感染してしまうフィラリア症は、まだまだ非常に多い伝染病です。犬では屋外・屋内飼育に関わらず必ず予防が必要になります。猫の予防に関しては犬ほど必要性は高くないですが、最近では猫の突然死の原因にフィラリアがかかわっていると言われており、猫のフィラリア予防も大切だと言われています。フィラリア予防の方法には以下の3種類があります。
飲み薬 月1回(4~12月)
蚊が出始める頃〜いなくなって1ヶ月後までは予防が必要になります。消化管内寄生虫やノミ・マダニ予防の薬と一緒になっている薬もあります。
スポットオン 月1回(4~12月)
毎月背中に垂らします。ノミ予防と一緒に予防できる薬もあります。飲み薬を飲ませるのが大変なわんちゃん猫ちゃんにおすすめです。
注射 年1回
わんちゃんはフィラリア症を1年間予防できる注射の薬があります。毎月予防するのを忘れてしまう飼い主さんにおすすめです。3月から接種することができ、動物病院が混み合う時期を避けて予防することができます。
ノミ・マダニ予防
ノミ・マダニ予防もわんちゃん・猫ちゃんを飼っている場合には大切です。最近はノミ・マダニ予防薬の種類も増えてきており、他の寄生虫やフィラリア予防もできるようなノミ・マダニ予防薬は、背中に垂らすスポットオン製剤や飲み薬として様々用意しています。
ノミ予防 月1回~
外に行くわんちゃん・猫ちゃんはノミ予防をしっかりしておきましょう。生活環境によってノミが付いてしまう期間は違いますが、特にノミが多い5月~10月くらいはしっかり予防しておいてもらうことがおすすめです。外に行かない子でもホテルに預けたり、野良猫が家に来るような場合には予防しておく必要があります。
マダニ予防 月1回~
マダニ予防も外に行くわんちゃん・猫ちゃんでは必要です。マダニは草むらにたくさんいるため、草むらなどに行くペットでは予防の必要性が高くなります。また、マダニは1年中いますので、マダニが付きやすい子は年中予防しておいてもらうことをおすすめします。
消化管内寄生虫症
寄生虫予防薬 月1回~
最近では、消化管内寄生虫が減少したことと、フィラリア予防薬やノミ・マダニ予防薬の中に消化管内寄生虫も予防できる薬が多く含まれるようになったため、消化管内寄生虫の予防の重要性は低下しています。ただし、それでも特に子犬・子猫・保護犬や保護猫には寄生虫がいることも多いです。心配な方は消化管内寄生虫の予防薬もしっかりしておきましょう。
フードによる病気の予防
病気の予防はワクチンや予防薬だけではありません。毎日食べるフードも病気の予防のためには大切です。市販でも処方食が売られていることがありますが、本来処方食はその適応を見極めたうえで処方してもらう食餌です。自分の判断で使うのではなく、動物病院で相談して使うようにしてくださいね。
ダイエット(体重管理)
動物の肥満はヒトの肥満より深刻な問題になっており、犬や猫の半数以上が肥満であるという調査もあります。室内飼いのわんちゃん・猫ちゃんが増え、以前に比べペットの運動量は減っています。また、一緒にいる時間が長くなることでついついおやつや人のご飯を与えてしまう飼い主さんも多いようです。ダイエットフードは、ダイエットが必要な子だけでなく、ご飯が好きで普通のフードだけだと物足りないというわんちゃん・猫ちゃんにもおすすめです。
食物アレルギー
動物の食物アレルギーは非常に多いです。最近では、犬用・猫用のアレルギーフードもたくさん出てきており、アレルギーの治療に欠かせないものになっています。食物アレルギーで命を落としてしまうことは非常にまれですが、痒みは強いストレスからペットのQOL(生活の質)を落としてしまうつらい病気です。食物アレルギーを持っている子では、予防的にアレルギー食を食べることも大切です。
下部尿路疾患(尿路結石)
犬や猫では膀胱結石の発生率が非常に高いです。膀胱結石は、食餌からとったミネラル分が膀胱で固まることで作られてしまいます。定期的に尿検査をしてもらい、必要があれば下部尿路疾患用のフードを与えるようにしましょう。
腎臓病用
腎臓病は高齢の犬・猫で多い病気です。特に高齢猫では慢性腎臓病が非常に多く、定期的に点滴で通院している猫ちゃんもいます。腎臓病の初期であれば食餌だけで進行を防ぐことができるケースもあるので、多飲多尿など腎臓病の初期症状が疑われる猫ちゃんではしっかり検査をしてもらい、必要に応じて早めに食餌療法を開始しましょう。
消化器用
下痢をしやすい子に食べさせたい処方食です。消化器用フードには、低脂肪・高食物繊維・アレルギーを起こしにくいなど、目的によってさまざまなタイプのフードがあります。愛犬・愛猫に合ったフードを与えるようにしましょう。
肝臓病用
肝臓に負担が少ない成分を含むフードになります。肝臓が弱い犬・猫に食べさせたいフードです。